...寧ろ未醒蛮民と号しそうな辺方瘴煙(しょうえん)の気を感じたものである...
芥川龍之介 「小杉未醒氏」
...何と言ふ俗悪さ加減!多忙我我を恋愛から救ふものは理性よりも寧ろ多忙である...
芥川龍之介 「侏儒の言葉」
...彼を苦しめた中学の校舎は寧ろ美しい薔薇色をした薄明りの中に横はつてゐる...
芥川龍之介 「大導寺信輔の半生」
...といふよりは寧ろ自分の方が生徒以上に希望して開いたので...
石川啄木 「雲は天才である」
...此様な世の中ならば寧ろ無い方が遙に優つて居ると云ふに過ぎぬ...
丘浅次郎 「人類の誇大狂」
...寧ろそれをよろこぶような傾きがないでもなかった...
高浜虚子 「漱石氏と私」
...私は寧ろ逆に、何故自然弁証法が成り立ってはならないと考えねばならぬか、の説明の責を彼等に負わせる権利を有つと思う...
戸坂潤 「科学論」
...寧ろ宗教内部の統一と制御とをさし当りの目的にしているらしく見える...
戸坂潤 「現代唯物論講話」
...工業の科学化、或いは寧ろ、工業の最も科学的な精華と云ってもいいかも知れない精密機械とその部分品との製造という、極めて「科学的」(?)な課題から出発しているのであるが、まだ科学主義工業家ではないのである...
戸坂潤 「読書法」
...寧ろ徳川期は日本に於ける封建制が...
戸坂潤 「日本文化の特殊性」
...寧ろ範疇そのものの問題ではなくして或る他の一つの問題を解き得るためには...
戸坂潤 「範疇としての空間に就いて」
...或は寧ろ其人に懷疑的傾向があるからこそ人生問題などを考察しやうといふ樣な考が起つて來るのである...
朝永三十郎 「懷疑思潮に付て」
...これは寧ろ、凡てをうち明けた方がよいかも知れないと考えた...
豊島与志雄 「未来の天才」
...寧ろ進んで闇の中(うち)に陥(おちい)りたき熱望に駆られ候...
永井荷風 「夜あるき」
...実は寧ろ気が弱い迄に見解の博い人である...
中原中也 「萩原朔太郎評論集 無からの抗争」
...寧ろ話し手の腹の底から沁み出して来たやるせない述懐の言葉らしく響くのでした...
野村胡堂 「新奇談クラブ」
...彼女は、寧ろ彼の為に、東京での彼のダルな生活を見るに忍びなかつた...
牧野信一 「冬の風鈴」
...寧ろ、(いっそ、あの手で打(ぶ)たれたら……)と思うと、何かゾクゾクとした、喜びに似た気持を感じるのだ...
蘭郁二郎 「夢鬼」
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