...畢竟蒹葭堂主人は寥々(れうれう)たる著書と画との外に何も伝へなかつたと言はなければならぬ...
芥川龍之介 「僻見」
...心絃挽歌(しんげんばんか)寥々(れうれう)として起るが如く...
石川啄木 「閑天地」
...寥々(りょうりょう)として寒そうな水が漲っている...
伊藤左千夫 「水害雑録」
...いかに寥々たるものであったかが判りましょう...
上村松園 「画学校時代」
...人物画は寥々たるものでした...
上村松園 「画学校時代」
...船既ニ過ギレ半途ヲ庸卑多ハ就キレ眠ニ々自ラ罷ミ寥々可シレ悦ブ...
京山人百樹 「北越雪譜」
...俳句からいったら少しも珍しくないのでありますが――になりますとまことに寥々(りょうりょう)として数えるほどのものしかありません...
高浜虚子 「俳句とはどんなものか」
...いつも寥々(りょうりょう)たる広野の心持のするところです...
中里介山 「大菩薩峠」
...橋の上を通る人は寥々(りょうりょう)としていた...
長谷川時雨 「お墓のすげかえ」
...みんな嘘っぱちばかりの世界だ!甲州行きの終列車が頭の上を突きさした百貨店(マーケット)の屋上のように寥々とした全生活を振り捨てゝ私は木賃宿の蒲団に静脈を延ばした列車にフンサイされた死骸を私は他人のように抱きしめて真夜中煤けた障子をいっぱい明けるとこんなところにも月がおどけていた...
林芙美子 「放浪記(初出)」
...しかしてその線をたどる通行人の極めて寥々(りょうりょう)たるがごときものである...
原勝郎 「東山時代における一縉紳の生活」
...寥々と瘠せた男が影のように坐っているさまは鬼気迫るような気がする...
久生十蘭 「魔都」
...従て日本では役立つ有用植物の本が寥々である...
牧野富太郎 「植物記」
...寂寥々とした哀愁が...
宮本百合子 「偶感一語」
...寥々(りょうりょう)たる星のごときものであろう...
吉川英治 「大岡越前」
...寥々(りょうりょう)とすだく虫の音があるばかり...
吉川英治 「神州天馬侠」
...ただ寥々(りょうりょう)たる夕闇があるだけだった...
吉川英治 「新書太閤記」
...坐禅しながら死を待つあの寥々(りょうりょう)とした終焉(しゅうえん)の身辺も...
吉川英治 「随筆 宮本武蔵」
便利!手書き漢字入力検索