...世間の寡婦たちがつまらない貞操観に囚はれて味気ないさびしい空虚な日を送りながら果敢(はか)ない習俗的な道徳心にわづかになぐさめられてゐる気の毒さを――...
伊藤野枝 「貞操に就いての雑感」
...多寡(たか)を括(くく)っていたので...
江戸川乱歩 「孤島の鬼」
...その行いは厳正にして寡慾...
相馬愛蔵 「私の小売商道」
...充分這入ると多寡をくくって安心し切っていた最後のトランクへ...
谷譲次 「踊る地平線」
...一人は加特力教徒の寡婦が用ひる喪服に似た着物の裾を地に曳き...
永井荷風 「冬の夜がたり」
...嫂(あによめ)はただ「いらっしゃい」と平生の通り言葉寡(ことばずくな)な挨拶をした...
夏目漱石 「行人」
...また信長(のぶなが)が寡兵(かへい)を督(とく)して桶狭間(おけはざま)に突進するに先だち...
新渡戸稲造 「自警録」
...人間は寡欲(かよく)で恬淡(てんたん)で...
野村胡堂 「銭形平次打明け話」
...多寡をくゝつてゐる樣子です...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...もう大概何とかなさつたらいいでせうね」――彼と一緒に次兄の家で一時厄介になつてゐた寡婦の妹からこんな手紙が来た...
原民喜 「氷花」
...えらそうには言って見るが宇宙の輪廻の中では人間の智慧などはどの道多寡(たか)の知れたもので...
久生十蘭 「平賀源内捕物帳」
...よるべない寡婦や哀れな孤児に手を貸そうとしたからなのです!……』ここで彼はハンカチをだして...
ニコライ・ゴーゴリ Nikolai Vasilievitch Gogolj(Николай Васильевич Гоголь) 平井肇訳 「死せる魂」
...今に重吉が井沢郡から代議士にうって出て見ろ、最高点をとるにきまっとる、と云う周囲の焙りつくような待ち遠しい目を身に受けながら、重吉は寡黙に、快活に温い頑強さで、自分がそれらの人々の希望している通りの者には決してならないことを自覚して暮しているのであった...
「海流」
...寡聞(かもん)浅学の故を以て固辞再三に及べども不聴(ゆるさず)...
夢野久作 「ドグラ・マグラ」
...味方は寡兵(かへい)...
吉川英治 「三国志」
...兵力の寡少(かしょう)は問題でない」と...
吉川英治 「三国志」
...しかしこのむりな突破に払った足利方の損害は寡少(かしょう)でない...
吉川英治 「私本太平記」
...多寡(たか)の知れた山住居(やまずまい)の牢人(ろうにん)一名が...
吉川英治 「新書太閤記」
便利!手書き漢字入力検索