...「月は寒し、炎のようなその指が、火水となって骨に響く...
泉鏡花 「歌行燈」
...殊に今もしみじみと哀(あわれ)を覚えるは、夕顔の巻、「八月十五夜、くまなき月影、隙(ひま)多かる板屋、残りなく洩り来て」のあたり、「暁近くなりにけるなるべし、隣の家々、あやしき賤(しづ)の男(を)の声々めざましく、あはれ、いと寒しや、ことしこそ、なりはひに頼む所少く、田舎のかよひも思ひがけねば、いと心細(ぼそ)けれ、北殿(きたどの)こそ聞き給へや」とあるには、半蔀几帳(はじとみきちょう)の屋内より出でて、忽ち築地(ついじ)、透垣(すいがい)の外を瞥見(べっけん)する心地する...
上田敏 「『新訳源氏物語』初版の序」
...蔦うるし這はせて寒し庭の松...
小穴隆一 「二つの繪」
...実に唇亡びて歯寒し...
大隈重信 「三たび東方の平和を論ず」
...秋風の急に寒しや分(わけ)の茶屋昭和七年十月九日 松江を発(た)ち大山(だいせん)に向ふ...
高浜虚子 「五百句」
...思ひ佗(わ)び此夜寒しと寝まりけり夜寒さを佗びてはなひる許(ばか)りなり十月二十三日 「玉藻十句集(第三十三回)」野を浅くわたりし裾(すそ)に草じらみ老ぬればあたゝめ酒も猪口一つ十月二十三日 玉藻俳句会...
高浜虚子 「五百五十句」
...秋寒し、近況如何(いか)...
田山花袋 「田舎教師」
...曇りて寒し...
永井荷風 「断腸亭日乗」
...日暮風漸く寒し...
永井荷風 「断腸亭日乗」
......
長塚節 「長塚節歌集 中」
...熱海に避寒してゐる心臓の悪い父や...
中戸川吉二 「イボタの虫」
...私という人間は、また、そうした祖母の教訓をうけながら、利にうとく、空手でものごとをはじめる、赤ン坊のような勇気? 時折自ら苦笑する、『女人芸術』にしてからが、この祖母の諭(いまし)めを服用していたならば、秋風寒しなんて、しなびはしないであろうに――祖母は十九で自己を建設のために遠く出て来た人、私は時代の激しい潮流に押流された江戸人の、残物の、アブクのようなものをうけて生れて来て、文学をよく知らずに、文学でお金をもらうことを覚えた不覚者、そこの相違である...
長谷川時雨 「西川小りん」
...寒し...
古川緑波 「古川ロッパ昭和日記」
...大阪・京都の借りがひかれて、お寒し/\...
古川緑波 「古川ロッパ昭和日記」
...此っちの部屋はスチームなくとても寒し...
古川緑波 「古川ロッパ昭和日記」
...もう仕方がないとあきらめると、つめたい風が森の中から出て電気燈の光にまじって来るので、首巻を鼻までかけて見たが直に落ちてしまう、寒さは寒し、急に背中がぞくぞくして気分が悪くなったからただうつむいたばかりで首もあげぬ...
正岡子規 「熊手と提灯」
...寒さは寒し、腹は減るし、喉は渇くし、そんな寝衣ひとつで、震えながら廊下に立っている自分に気づくと、昌平は情けないほど悲しくやるせない気持になった...
山本周五郎 「七日七夜」
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吉川英治 「新・水滸伝」
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