...「月は寒し、炎のようなその指が、火水となって骨に響く...
泉鏡花 「歌行燈」
...蔦うるし這はせて寒し庭の松...
小穴隆一 「二つの繪」
...淺間おろし身にしみて寒し...
大町桂月 「妙義山の五日」
...秋風の急に寒しや分(わけ)の茶屋昭和七年十月九日 松江を発(た)ち大山(だいせん)に向ふ...
高浜虚子 「五百句」
...山端(やまばな)は寒し素逝(そせい)を顧みし十二月十九日 京都山端平八に行く...
高浜虚子 「五百五十句」
...八月十六日晴、肌寒し...
種田山頭火 「其中日記」
...春寒し――早春の感じはよろし...
種田山頭火 「松山日記」
...斗聲無く露落ちて旌旗は寒し風清し...
土井晩翠 「天地有情」
......
内藤鳴雪 「鳴雪自叙伝」
...雨ふりて寒し...
永井荷風 「断腸亭日乗」
...春季雜咏淡雪の楢の林に散りくれば松雀が聲は寒しこの日は筑波嶺に雪は降れども枯菊の刈らず殘れるしたもえに出づ淺茅生の茅生の朝霜おきゆるみ蓬はもえぬ茅生の淺茅に枝毎に三また成せる三椏(みつまた)の蕾をみれば蜂の巣の如春雨のふりの催ひに淺緑染めいでし桑の藁解き放つ海底問答二月八日の眞夜中より九月にかけて旅順の沖に砲火熾に交れば...
長塚節 「長塚節歌集 中」
...例の「風蕭々(しょうしょう)として易水寒し...
萩原朔太郎 「郷愁の詩人 与謝蕪村」
...大阪・京都の借りがひかれて、お寒し/\...
古川緑波 「古川ロッパ昭和日記」
...高館に登りて見れば小糠雨烟りて寒く朽ちかけし家のほとりの高き木に鳴く蝉かなし苔かほる古き木に倚りその昔の人をしのべど木々に吹く風も寂しく消えて行く思ひ儚し遠山の淡くけむりて北上は北の果よりその昔の夢を語らずうね/\とうねりて流る故郷を遠くはなれて旅に見る夢跡かなし生ひ繁る草木の緑高館に吹く風寒し...
森川義信 「高館」
...楚俊は答えて『両頭を裁断し一剣天に倚(よ)って寒し』という...
山本周五郎 「新潮記」
...みな生生(いきいき)と温かに……されど唯(た)だ壺(つぼ)の彼岸桜(ひがんさくら)とわが姿とのみは淡く寒し...
與謝野晶子 「晶子詩篇全集」
...うら寒し、はるばる来(き)つるアムステルダムの一夜(いちや)...
與謝野晶子 「晶子詩篇全集」
...「唇やぶれて歯寒し――のたとえもあります...
吉川英治 「新書太閤記」
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