...』笑ふ時目尻の皺の深くなる、口髯の下向いた、寒さうな、人の好さ相な顔をした安藤は、臆病らしい眼付をして其紙と健の顔を見比(みくら)べた...
石川啄木 「足跡」
...何よりも寒さに対しては意久地(いくじ)のないEはどんな格好をして座つてゐるだらう...
伊藤野枝 「監獄挿話 面会人控所」
...孝太郎の心は寒さが増すにつれて次第に深く沈まんとした...
豊島与志雄 「囚われ」
...さびしい夜の寒さは...
マリー・ルイーズ・ド・ラ・ラメー Marie Louise de la Ramee 菊池寛訳 「フランダースの犬」
...地主のお膳にぬか団子が転っていたか修身講話が次から次へとウソになって現れて来たいまおお お前らのあたまも「学校」から離れる北風の吹く夕暮れ母親は馬カゴのもち草を河っぷちで洗ってる子供らはざるを抱えて家路へ急ぐ背中の児は空腹を訴えて泣き背負った子供は寒さに震えるだが...
長沢佑 「蕗のとうを摘む子供等」
...涙をうかべて微笑をしたり寒さに慄へて歌つたりする...
ジャン・ニコラ・アルチュール・ランボー Jean Nicolas Arthur Rimbaud 中原中也訳 「ランボオ詩集」
...「クレオ」は今日寒さ身に浸みた...
古川緑波 「古川ロッパ昭和日記」
...暑さと寒さを一どきに味はふ...
古川緑波 「古川ロッパ昭和日記」
...肩に沁(し)みる寒さがあった...
本庄陸男 「石狩川」
...唐辛子を食べて寒さを凌いでいる...
宮城道雄 「声と食物」
...寒さがどこにあるのでしょう...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...それがどうといふこともなく不意に柱のそばに永く私を寒さうに佇ませたりするのであつた...
室生犀星 「蒼白き巣窟」
...それ世は泪(なみだ)雨と時雨(しぐれ)と里東(りとう)雪舟(そり)に乗る越(こし)の遊女の寒さうに野径(やけい)壱歩(いちぶ)につなぐ丁百(ちょうひゃく)の銭(ぜに)乙州(おとくに)とある中の句で...
柳田国男 「木綿以前の事」
...空腹と、寒さと疲れとで、頭が痺(しび)れ、体が宙に浮いているような感じだった...
山本周五郎 「花も刀も」
...窓硝子の向うに迫っている闇が大幅の寒さで身にこたえた...
横光利一 「夜の靴」
...爪も凍(こお)るかと思う寒さでござりました...
吉川英治 「親鸞」
...だが、万吉とかいう奴は? ……大丈夫だろうな」「なアに、この寒さだ...
吉川英治 「鳴門秘帖」
...ことし六歳(むっつ)の乙若(おとわか)と、八歳になった今若(いまわか)のふたりが、寒さに、ひしと抱き合って、無心な寝息をもらしていた...
吉川英治 「源頼朝」
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