...唯寒い夜に封じられてゐる...
芥川龍之介 「霜夜」
...暖いにつけ、寒いにつけ、杖(つえ)柱とも思う同伴(つれ)の若いものに別れると、六十の迷児(まいご)になって、もし、この辺に棚からぶら下がったような宿屋はござりませんかと、賑(にぎや)かな町の中を独りとぼとぼと尋ね飽倦(あぐ)んで、もう落胆(がっかり)しやした、と云ってな、どっかり知らぬ家(うち)の店頭(みせさき)へ腰を落込(おとしこ)んで、一服無心をした処……あすこを読むと串戯(じょうだん)ではない...
泉鏡花 「歌行燈」
...冬は寒い風が吹く時に戸を締めておき...
宇野浩二 「でたらめ経」
...あのように箆棒(べらぼう)に寒い暁近くでもなければ...
海野十三 「ネオン横丁殺人事件」
...なんとも云えないうそ寒い後姿だった...
海野十三 「俘囚」
...われわれは寒いときにはより多く食い...
ソーロー Henry David Thoreau 神吉三郎訳 「森の生活――ウォールデン――」
...「霰が降っていて寒い日である」とか...
高浜虚子 「俳句とはどんなものか」
...高く来て肌寒い...
種田山頭火 「旅日記」
...露語の zima は霜(シモ)や寒(サム)や梵語(ぼんご)の hima(雪)やラテンの hiems(冬)やギリシアの cheimon(冬)やまたペルシア語の sarmai(寒い)にも似ている...
寺田寅彦 「言葉の不思議」
...睡眠も寒い夜戸外においては生命にかかわることがあるのを彼は思い出した...
ビクトル・ユーゴー Victor Hugo 豊島与志雄訳 「レ・ミゼラブル」
...外は寒い風が吹いている...
永井荷風 「ひかげの花」
...空気枕の上で黒い頭をぶくつかせていたが「寒いより眠い所だ」と云いながらちょっと顔の向(むき)を換えると...
夏目漱石 「虞美人草」
...堅くなって火鉢(ひばち)のそばへすわって寒い寒いと言う...
夏目漱石 「三四郎」
...私は丁度どんよりとした時雨空に膚寒い風に吹かれながら...
濱田耕作 「沖繩の旅」
...相当寒いです」軍隊訛(なま)りで...
林芙美子 「浮雲」
...暗い小寒い路が長かつた...
原民喜 「廃墟から」
...寒い夜氣(やき)に冷えきつてゐた...
ブロンテイ 十一谷義三郎訳 「ジエィン・エア」
...しばらくのあいだ寒い風がふいていた...
マロ Malot 楠山正雄訳 「家なき子」
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