...いかにも寒々として可哀想であったので箪笥の引出を開いて...
海野十三 「棺桶の花嫁」
...そんなに寒々としたものでもなかった...
谷崎潤一郎 「細雪」
...沈みゆく太陽がその寒々(さむざむ)とした光線で雪の平原を照らしたり...
アントン・チェーホフ Anton Chekhov 神西清訳 「イオーヌィチ」
...ことごとくが寒々として見えるから妙である...
寺田寅彦 「新年雑俎」
...何か寒々した感じだったが...
徳田秋声 「仮装人物」
...寒々と目をつむっているのであった...
永井隆 「この子を残して」
...寒々とした灰色の空から霙(みぞれ)が落ちかかる...
中島敦 「名人伝」
...兎の毛で縁をとつたオールドローズの繻子の肩掛に寒々とくるまり...
中原中也 「三等車の中(スケッチ)」
...その所を得せしむるのが道で御座ろうか」空善は寒々と袖をかき合せるのです...
野村胡堂 「大江戸黄金狂」
...単にこの易水という文字の白く寒々とした感じを取って...
萩原朔太郎 「郷愁の詩人 与謝蕪村」
...寝台もないので寒々として...
林芙美子 「浮雲」
...電車通りを練つて行くブラスバンドの演奏も寒々としたものであり...
正岡容 「根津遊草」
...軒燈をうしろにした格子が寒々と荒い桟型にはめられていた...
室生犀星 「香爐を盗む」
...寒々と背姿(せすがた)の林は続き連峯(れんぽう)は雪よれよれの路はまた坂になり鴉はあをあをと山蔭に群がりああ 少年の日の悲歌(エレヂー)が甦(よみが)へるゆふぐれよりも早くぱらぱら何時かのように村は花を灯(ひとも)し村はまた何かを悲しむであらうこんなにも林の多い路だつたかと少年の日のふるさとに――傷心のわたしであつた...
森川義信 「帰村」
...寒々と落日のこぼれてくる時雨雲の下に...
吉川英治 「上杉謙信」
...寒々(さむざむ)しいばかりである...
吉川英治 「私本太平記」
...それから、今までは、一部屋について、一昼夜炭何貫と、お定めがあったそうだが、火の気の倹約は、寒々しい...
吉川英治 「新書太閤記」
...人々は寒々と働きはじめた...
吉川英治 「新書太閤記」
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