...寒々と彼方に屹立する富士の姿をなよやかな薄紫の腰のあたりまでひッたりとぼかしこむ...
大阪圭吉 「闖入者」
...寒々と凩のひびきをきき...
大鹿卓 「渡良瀬川」
...寒々しい大統領官邸にも最上級の驚嘆を示し――番頭は上機嫌で商売なんかそっちのけだ...
谷譲次 「踊る地平線」
...それこそ本当にかつてこの世に存在した最も古井戸らしい古井戸と云っても可いような寒々しい最上の客間へ連れ込んだ...
ディッケンス Dickens 森田草平訳 「クリスマス・カロル」
...私は寒々とした気持で我に返って...
豊島与志雄 「守宮」
...床の中に寒々と横たへられたまゝ...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...常に寒々とした人生の孤独(アインザーム)を眺めていた...
萩原朔太郎 「郷愁の詩人 与謝蕪村」
...寒々しいものを感じますよ‥‥」たか子は...
林芙美子 「或る女」
...東京の哀愁を歌うにふさわしい寒々とした日...
林芙美子 「新版 放浪記」
...それは寒々とさせ...
バルザック Honore de Balzac 中島英之訳 「ゴリオ爺さん」
...砧と違って寒々としてゝ淋しい...
古川緑波 「古川ロッパ昭和日記」
...寒々しい光栄に曝されてゐる...
逸見猶吉 「逸見猶吉詩集」
...奥方が「なにね畳がズタズタになってるから」ますます寒々とした邸内の有様が髣髴としてくる...
正岡容 「我が圓朝研究」
...寒々(さむざむ)と...
三上於菟吉 「雪之丞変化」
...今夜もまた、戻らぬのかしら」「お正月じゃほどに」「でも、家の者は、母さんはじめ――餅一つ祝うでなし、こうして寒々、夜業(よなべ)して暮してるに」「男は、交際(つきあい)というものもあるしのう……」「いくら主(あるじ)だからというて、働きもせず、お酒ばかり飲んで...
吉川英治 「新書太閤記」
...それから、今までは、一部屋について、一昼夜炭何貫と、お定めがあったそうだが、火の気の倹約は、寒々しい...
吉川英治 「新書太閤記」
...寒々とあったに過ぎなかったのが――今はどうして平氏の眷族(けんぞく)たちも皆...
吉川英治 「源頼朝」
...※寒々と暗雲の垂れこめた日が...
神西清訳 「ムツェンスク郡のマクベス夫人」
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