...天井の高い寒々とした十二畳の座敷...
江戸川乱歩 「悪魔の紋章」
...寒々と凩のひびきをきき...
大鹿卓 「渡良瀬川」
...寒々した女がすつと夢のやうに立つて...
太宰治 「右大臣実朝」
...寒々とした灰色の空から霙(みぞれ)が落ちかかる...
中島敦 「名人伝」
...湿気に傷む寒々とした部屋の中にて...
ジャン・ニコラ・アルチュール・ランボー Jean Nicolas Arthur Rimbaud 中原中也訳 「ランボオ詩集」
...寒々とした薄着が...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...外は寒々とした庭の景色で...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...今でも寒々とした悪感が走るほどである...
萩原朔太郎 「僕の孤独癖について」
...いまどこまでも白く寒々と無限に展(ひろ)がってゆくように想えた...
原民喜 「冬日記」
...諸払ひをすませ寒々と正月を迎へる気持...
古川緑波 「古川ロッパ昭和日記」
...寒々と貧しく暮してゐる母親を想像したのが...
牧野信一 「裸虫抄」
...「今戸の狐」ではしがない落語家の生活も千住(こつ)のおいらんのなれの果ての姿も今戸八幡辺りの寒々とした景色とともに...
正岡容 「随筆 寄席囃子」
...寒々と落日のこぼれてくる時雨雲の下に...
吉川英治 「上杉謙信」
...ゆうべからの時雨(しぐれ)雲に、きょうは、ひねもす寒々と、雨音に暮れていたが、家の中は、もの音一つしなかった...
吉川英治 「大岡越前」
...寒々と、正月の陽は、平野の果てにうすずいて、きょうも暮れかけていた...
吉川英治 「新書太閤記」
...しかも、相抱いて、寒々と、うれし泣きに泣いているふたりのすがたを見ては、――それをもうれしいほどな彼女たちの過去の生活であったかと思った...
吉川英治 「親鸞」
...寒々と、時雨(しぐれ)がして、宵から戸を卸(おろ)していた...
吉川英治 「松のや露八」
...どうしてこの山の高みにこれだけの水量があるだろうと不思議に思わるる豊かな水が寒々と澄んで流れている...
若山牧水 「みなかみ紀行」
便利!手書き漢字入力検索