...寒さも忘れ、恥部(ちぶ)を隠す余裕も持てない数人の浴客、それに椿事と知って駆けつけて来た近所の人々や、通行人らしい見知らぬ顔の男達が、或(あるい)は足袋(たび)を濡らしたまま、或は裾をまくったままで、わいわいと湯槽を取囲んでいた...
海野十三 「電気風呂の怪死事件」
...お二人ともこんなところで何をしているの? 寒かないこと?柳麗玉 (安重根から離れて)あら...
林不忘 「安重根」
...・お茶でもすませる今日が暮れた・散つては咲く梅の水かへる寒うなつて葉ぼたんうつくしい生活の御詠歌うたふも寒いこと・音たてゝ食べる夜(ヨル)の人・街の雑音の密柑むく・星が寒う晴れてくるデパートの窓も・いちりんのその水仙もしぼんだ尿する月かくす雲のはやさよ寒月の捨犬が鳴きつゞける一月八日朝のうちはうらゝかな晴れだつたが...
種田山頭火 「行乞記」
...場所は寒々として何もなかった...
ディッケンス Dickens 森田草平訳 「クリスマス・カロル」
...私は薄ら寒いおののきを身内に感じながら...
豊島与志雄 「都会の幽気」
...日寒気加はる...
断膓亭日記巻之四大正九年歳次庚申 「断腸亭日乗」
...三日大分寒くなって来たな...
永井荷風 「ひかげの花」
...並(なみ)ならぬ悪寒は繰返し襲つて来ました...
ジャン・ニコラ・アルチュール・ランボー Jean Nicolas Arthur Rimbaud 中原中也訳 「ランボオ詩集」
...主人はこの時寝返りを堂(どう)と打ちながら「寒月だ」と大きな声を出す...
夏目漱石 「吾輩は猫である」
...夜風が少し寒いから...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...寒中でも足の冷えぬようにしたとか...
野村胡堂 「礫心中」
...まるで子供のやうにミツシヱルは寒子の頬に口づけて...
林芙美子 「瑪瑙盤」
...唯一の防寒具である...
葉山嘉樹 「海に生くる人々」
...寒岩義尹あるのみである...
原勝郎 「鎌倉時代の布教と當時の交通」
...辰さんのやうに一心不亂に勉強するつもりで、炬燵を離れて兄のテーブルに向つたが、裾の方が寒くて、手の先も冷えて、とても長い辛抱は出來なかつた...
正宗白鳥 「入江のほとり」
...寒い晩であった...
森鴎外 「ヰタ・セクスアリス」
...「そんな姿でどうしてお前は寒くないのか...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...そこここわがままに生えていた木もすでに緑の上衣を剥(は)がれて、寒いか、風に慄(ふる)えていると、旅帰りの椋鳥(むくどり)は慰め顔にも澄ましきッて囀(さえず)ッている...
山田美妙 「武蔵野」
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