...気負いに気負った葉子の肉体はしかしさして寒いとは思わなかった...
有島武郎 「或る女」
...苦(くるし)さはその寒冷なる手が余の愛するものの身に来(きた)り...
内村鑑三 「基督信徒のなぐさめ」
...一種の藻草――それはもうこの間の冬の寒さに無用の廃物となってもとの泥にもどろうとしているような藻草――があるあたりに...
高浜虚子 「俳句の作りよう」
...何せまだ、ひどく寒かった...
太宰治 「未帰還の友に」
...昨日は寒かつたが今日は温かい、一寒一温、それが取りも直さず人生そのものだ...
種田山頭火 「行乞記」
...今はもう日毎に温度が降下して酷しい寒さが加はるばかりですが...
近松秋江 「初雪」
...それから重いバスケットをさげて寒い風の吹く中を...
豊島与志雄 「香奠」
...物佗びしい寒い空気や...
豊島与志雄 「微笑」
...それに気候が寒い――物見遊山の目的の船出ではないから...
中里介山 「大菩薩峠」
...寒すぎて可哀そうよ...
フランセス・ホッヂソン・バァネット Frances Hodgeson Burnett 菊池寛訳 「小公女」
...さあ皆さん御きげんよう……何年ぶりかで見上げる夜空の寒いこと...
林芙美子 「放浪記(初出)」
...もう三月だつて云ふのに、何て、寒いところだ、美津、お前、また、少しでいゝから、おぢいちやんの好きなもの心配してくれないかえ?」「お酒でせう?」「うん……」「今夜、誰かに、ことづけて上げるわ……」炬燵にうんと火をついだので、ほかほかとあたゝかい...
林芙美子 「雪の町」
...未亡人達に向つて)「あなた方はこの寒い廊下にこの上ゐらしては確實に風邪(かぜ)をお召しになつてしまひますよ...
ブロンテイ 十一谷義三郎訳 「ジエィン・エア」
...始め、妙に悪寒がして、腰が延(の)びないほど疼(うず)いたけれ共、お金の思わくを察して、堪えて水仕事まで仕て居たけれ共、しまいには、眼の裏が燃える様に熱くて、手足はすくみ、頭の頂上(てっぺん)から、鉄棒をねじり込まれる様に痛くて、とうとう床についてしまった...
宮本百合子 「栄蔵の死」
...戻って寒笑を追いだすと...
山本周五郎 「新潮記」
...爺さん寒いだろうが...
山本周五郎 「柳橋物語」
...夜明けの霧の寒さにジッとかがまって...
吉川英治 「江戸三国志」
...――おら一人、こんな寒い中に、張り番に立たせておいて」「では汝(われ)は、見張りをいいつけられて、立っていたのか」日吉が頷(うなず)くと、同時に、天蔵は飛びかかって、「喚(わめ)くと、生命(いのち)がないぞ」と、大きな掌(て)で、彼の口をふさいでしまった...
吉川英治 「新書太閤記」
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