...それから彼女は部屋に帰って寐た...
モオパッサン 秋田滋訳 「初雪」
...寐(ね)ても醒(さめ)ても余の思想はこの国土(こくど)より離れざりしなり...
内村鑑三 「基督信徒のなぐさめ」
...」と言って棚の方の寐台に上った...
高浜虚子 「漱石氏と私」
...ぢつと寐姿を眺めてゐたが...
永井壮吉 「人妻」
...君ばかり寐ているのは苦痛じゃないですか」「いえ...
夏目漱石 「それから」
...寐ている間に誰か来はしないかと聞いたのである...
夏目漱石 「それから」
...夜(よる)眼が冴(さ)えて寐(ね)られない時などは...
夏目漱石 「道草」
...まあ朝八時に起きる所を自然天然の傾向で十時頃まで寐ている...
夏目漱石 「模倣と独立」
...六疊(でふ)で寐(ね)てゐる事(こと)が一二度(ど)あつた...
夏目漱石 「門」
...寐耄(ねぼ)けた昔(むかし)に徊(ていくわい)する程(ほど)...
夏目漱石 「門」
...寐刃(ねたば)を合して居りますから私は龍馬をゆり起し...
楢崎龍、川田雪山 「千里駒後日譚」
...寐處(ねどころ)は淺草町(あさくさまち)の安宿(やすやど)...
樋口一葉 「十三夜」
...連れて來やうと思ひましたけれど彼の子は宵まどひで最う疾うに寐ましたから其まゝ置いて參りました...
樋口一葉 「十三夜」
...楊家(やうか)の娘君寵をうけてと長恨歌(ちやうごんか)を引出すまでもなく、娘の子は何處にも貴重がらるゝ頃なれど、此あたりの裏屋より赫奕姫(かくやひめ)の生るゝ事その例多し、築地の某屋(それや)に今は根を移して御前さま方の御相手、踊りに妙を得し雪といふ美形、唯今のお座敷にてお米のなります木はと至極あどけなき事は申とも、もとは此所の卷帶黨(まきおびづれ)にて花がるたの内職せしものなり、評判は其頃に高く去るもの日々に疎ければ、名物一つかげを消して二度目の花は紺屋の乙娘、今千束町に新つた屋の御神燈ほのめかして、小吉と呼ばるゝ公園の尤物(まれもの)も根生ひは同じ此處の土成し、あけくれの噂にも御出世といふは女に限りて、男は塵塚さがす黒斑(くろぶち)の尾の、ありて用なき物とも見ゆべし、此界隈に若い衆と呼ばるゝ町並の息子、生意氣ざかりの十七八より五人組、七人組、腰に尺八の伊達はなけれど、何とやら嚴めしき名の親分が手下(てか)につきて、揃ひの手ぬぐひ長提燈、賽ころ振る事おぼえぬうちは素見(ひやかし)の格子先に思ひ切つての串戲も言ひがたしとや、眞面目につとむる我が家業は晝のうちばかり、一風呂浴びて日の暮れゆけば突かけ下駄に七五三の着物、何屋の店の新妓(しんこ)を見たか、金杉の糸屋が娘に似て最う一倍鼻がひくいと、頭腦(あたま)の中を此樣な事にこしらへて、一軒ごとの格子に烟草の無理どり鼻紙の無心、打ちつ打たれつ是れを一世の譽と心得れば、堅氣の家の相續息子地廻りと改名して、大門際に喧嘩かひと出るもありけり、見よや女子(をんな)の勢力(いきほひ)と言はぬばかり、春秋しらぬ五丁町の賑ひ、送りの提燈(かんばん)いま流行らねど、茶屋が廻女(まはし)の雪駄のおとに響き通へる歌舞音曲、うかれうかれて入込む人の何を目當と言問はゞ、赤ゑり赭熊(しやぐま)に裲襠(うちかけ)の裾ながく、につと笑ふ口元目もと、何處が美(よ)いとも申がたけれど華魁衆(おいらんしゆ)とて此處にての敬ひ、立はなれては知るによしなし、かゝる中にて朝夕を過ごせば、衣(きぬ)の白地の紅に染む事無理ならず、美登利の眼の中に男といふ者さつても怕からず恐ろしからず、女郎といふ者さのみ賤しき勤めとも思はねば、過ぎし故郷を出立の當時ないて姉をば送りしこと夢のやうに思はれて、今日此頃の全盛に父母への孝養うらやましく、お職を徹す姉が身の、憂いの愁(つ)らいの數も知らねば、まち人戀ふる鼠なき格子の咒文、別れの背中に手加減の祕密(おく)まで、唯おもしろく聞なされて、廓ことばを町にいふまで去りとは恥かしからず思へるも哀なり、年はやう/\數への十四、人形抱いて頬ずりする心は御華族の御姫樣とて變りなけれど、修身の講義、家政學のいくたても學びしは學校にてばかり、誠あけくれ耳に入りしは好いた好かぬの客の風説(うはさ)、仕着せ積み夜具茶屋への行わたり、派手は美事に、かなはぬは見すぼらしく、人事我事分別をいふはまだ早し、幼な心に目の前の花のみはしるく、持まへの負けじ氣性は勝手に馳せ廻りて雲のやうな形をこしらへぬ、氣違ひ街道、寐ぼれ道、朝がへりの殿がた一順すみて朝寐の町も門の箒目(はゝきめ)青海波(せいがいは)をゑがき、打水よきほどに濟みし表町の通りを見渡せば、來るは來るは、萬年町山伏町、新谷町あたりを塒(ねぐら)にして、一能一術これも藝人の名はのがれぬ、よか/\飴や輕業師、人形つかひ大神樂、住吉をどりに角兵衞獅子、おもひおもひの扮粧(いでたち)して、縮緬透綾(ちりめんすきや)の伊達もあれば、薩摩がすりの洗ひ着に黒襦子の幅狹帶、よき女もあり男もあり、五人七人十人一組の大たむろもあれば、一人淋しき痩(や)せ老爺(おやぢ)の破れ三味線かゝへて行くもあり、六つ五つなる女の子に赤襷させて、あれは紀の國おどらするも見ゆ、お顧客(とくい)は廓内に居つゞけ客のなぐさみ、女郎の憂さ晴らし、彼處に入る身の生涯やめられぬ得分ありと知られて、來るも來るも此處らの町に細かしき貰ひを心に止めず、裾に海草(みるめ)のいかゞはしき乞食さへ門には立たず行過るぞかし、容顏(きりやう)よき女太夫の笠にかくれぬ床しの頬を見せながら、喉自慢、腕自慢、あれ彼の聲を此町には聞かせぬが憎くしと筆やの女房舌うちして言へば、店先に腰をかけて往來を眺めし湯がへりの美登利、はらりと下る前髮の毛を黄楊(つげ)の櫛(びんぐし)にちやつと掻きあげて、伯母さんあの太夫さん呼んで來ませうとて、はたはた驅けよつて袂にすがり、投げ入れし一品を誰れにも笑つて告げざりしが好みの明烏さらりと唄はせて、又御贔負をの嬌音これたやすくは買ひがたし、彼れが子供の処業かと寄集りし人舌を卷いて太夫よりは美登利の顏を眺めぬ、伊達には通るほどの藝人を此處にせき止めて、三味の音、笛の音、太皷の音、うたはせて舞はせて人の爲ぬ事して見たいと折ふし正太に(ささや)いて聞かせれば、驚いて呆れて己らは嫌やだな...
樋口一葉 「たけくらべ」
...夜(よる)は更(ふ)くるとも寐給(ねたま)はず...
樋口一葉 「われから」
...もう晩(おそ)いから黙ってお寐(ね)と優しく言って...
二葉亭四迷 「平凡」
...段々明らかになって来ると仰向(あおむけ)に寐た人の横顔らしい...
正岡子規 「ランプの影」
...蚊屋(かや)を吊(つ)らせて寐たと云うじゃありませんか...
森鴎外 「百物語」
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