...もし子供が富有な運命をもつてゐれば生れるまでには自分たちの生活もいくらか窮乏からまぬかれるかもしれない...
伊藤野枝 「私信」
...殊に江戸文化の爛熟した幕末の富有の町家は大抵文雅風流を衒(てら)って下手(へた)な発句の一つも捻(ひね)くり拙(まず)い画の一枚も描けば直ぐ得意になって本職を気取るものもあった...
内田魯庵 「淡島椿岳」
...富有な旦那の冥利(みょうり)として他人の書画会のためには千円からの金を棄てても自分は乞丐(こじき)画師の仲間となるのを甘(あまん)じなかったのであろう...
内田魯庵 「淡島椿岳」
...この寛闊(かんかつ)な気象は富有な旦那の時代が去って浅草生活をするようになってからも失(う)せないで...
内田魯庵 「淡島椿岳」
...彼はすべて大富有の商となれり...
徳富蘇峰 「将来の日本」
...あの世のことに気をもんでる富有な女に向かって...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...彼女の家は富有で...
豊島与志雄 「道化役」
...教養もあり富有でもあり...
豊島与志雄 「北京・青島・村落」
...これは固より富有な街区への付属物である...
豊島与志雄 「北支点描」
...何かしら一種の家風を具えた富有な家で...
豊島与志雄 「幻の園」
...貧しかったのに富有となった...
ビクトル・ユーゴー Victor Hugo 豊島与志雄訳 「レ・ミゼラブル」
...富有な地主が一人...
レオ・トルストイ Lev Nikolaevich Tolstoi 森林太郎訳 「パアテル・セルギウス」
...健三は自分を出来るだけ富有に...
夏目漱石 「道草」
...大名もやれば堺辺の富有な商人もやった...
原勝郎 「東山時代における一縉紳の生活」
...とりわけ堺自由市の富有の商人の女室(にょしつ)で...
久生十蘭 「うすゆき抄」
...五年の間に必ず富有(ふゆう)を致すことあるべし...
福沢諭吉 「旧藩情」
...二人は学校を出るとAは富有な親の遺産を享け継ぎ...
牧野信一 「なつかしき挿話」
...この宝物(たからもの)の力にてその家やや富有になりしに...
柳田国男 「遠野物語」
便利!手書き漢字入力検索