...だが彼は、密かに姿を変え、しばしば巷(ちまた)を徘徊(はいかい)していたので、むかし嗤笑(わらい)を買った身が、今はあの兇行の連続にもかかわらず、憎悪はむしろ帯刀一家に移って、彼れ自身の上には夥(おびただ)しい同情と畏敬とが集っているのを知って快心の笑みを洩らしていた...
海野十三 「くろがね天狗」
...密かにまた彼の腹の中を探っているので...
大倉※[#「火+華」、第3水準1-87-62]子 「黒猫十三」
...はかりごとを密かに行ふといふ巧智には乏しかつた御様子で...
太宰治 「右大臣実朝」
...私が二階を意識しながら密かに日記帳を取り出して筆を執りつつある時に...
谷崎潤一郎 「鍵」
...附き従う者共も具足や兜(かぶと)などを密かに挟箱(はさみばこ)に入れて持ち歩き...
谷崎潤一郎 「聞書抄」
...後に二人の傷を調べた上果し合ひを密かに見て居た者もあつて...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...事実、一同は密かに、この女の肝っ玉に驚いた...
フレッド・M・ホワイト Fred M. White 奥増夫訳 「くちなしの花」
...密かに祭りの到来を指折り数へて待ち構へてゐた...
牧野信一 「バラルダ物語」
...ふたたび密かに城を脱して...
吉川英治 「黒田如水」
...「アア吾、この人に及ばなかったこと当然である」深く衝(う)たれた重蔵は、密かに、この人にして初めてあの精妙剣がある筈と頷(うなず)いた...
吉川英治 「剣難女難」
...彼は密かに陰険な悦(えつ)を洩らして...
吉川英治 「剣難女難」
...妾(わらわ)のいることは密かにしていたのに...
吉川英治 「剣難女難」
...佐渡へ渡って、密かに、本間入道の手にある資朝卿へ近づきまいらせ、そして、鎌倉より処刑の使いが行きつかぬさきに、資朝卿を助け出し、いずこへなりと、時節の来るまで身を潜めておれ」「思いもよらぬ大任ですが、働(はたら)き効(が)いのあるお命じ...
吉川英治 「私本太平記」
...ところがここに、ふたりの舟中の長話を遠くに見て、密かに、いぶかっていた者がある...
吉川英治 「私本太平記」
...一切はすでに安兵衛の浪宅まで密かに船上げしてあるし...
吉川英治 「新編忠臣蔵」
...密かにある大事をのぞんでいる仲であった...
吉川英治 「鳴門秘帖」
...密かに調べてみると...
吉川英治 「鳴門秘帖」
...幕末に伊藤博文・井上馨が密かにヨーロッパに渡航するなんて時にはここが面倒を見たんです...
吉田茂 「私は隠居ではない」
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