...たちまちしんとして寂莫たるように変じたのを見て...
伊藤左千夫 「去年」
...寂莫として立っていた...
梅崎春生 「黄色い日日」
...寂莫(じゃくばく)たる長堤を辛(ようや)く城内まで漕(こぎ)つけ...
関根黙庵 「枯尾花」
...柳絮飛来客末レ還鶯花寂莫夢空残十千沽得京華酒春雨闌干看二牡丹一二十六日...
谷崎潤一郎 「瘋癲老人日記」
...彼はその空しい寂莫のうちに甘え耽りながら...
豊島与志雄 「愚かな一日」
...寂莫(せきばく)とした小書院(こしょいん)一杯に反響して...
直木三十五 「大岡越前の独立」
...これな寂莫(しじま)にほとぶなり……これやこの...
中原中也 「山羊の歌」
...この寂莫境にひたり込んでいるうち...
中村清太郎 「ある偃松の独白」
...夜の寂莫を破ってけたたましく響き渡った...
久生十蘭 「魔都」
...歓びといふ美しくて移り気な訪客がわれわれの許を飛び去つたあとではただ侘しい音だけが過ぎ去つた歓楽を物語るのではなからうか? 音そのものが既におのれの反響(こだま)のなかに悲哀と寂莫の声を聴きながら...
ニコライ・ゴーゴリ Nikolai Vasilievitch Gogoli 平井肇訳 「ディカーニカ近郷夜話 前篇」
...余は到底この寂莫に堪へざるべし...
牧野信一 「淡雪」
...名状し難い焦慮と寂莫に打たれた...
牧野信一 「女優」
...心からなる人生の寂莫を誰にともなく訴へて...
牧野信一 「露路の友」
...寂莫の羽ばたきがよりよく私には聞えるのである...
室生犀星 「京洛日記」
...もの言へぬ寂莫がこもつてゐるやうで...
室生犀星 「故郷を辞す」
...それとは反対に寧ろ寂莫たる陰影が有つた...
柳田國男 「ひじりの家」
...アトは一面に星一つない寂莫たる暗黒の山々らしい...
夢野久作 「女坑主」
...犬コロ一匹通っていない真の寂莫無人の厳粛な地獄絵図としか見えなかった...
夢野久作 「女坑主」
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