...この時われ等が周圍には寂として何の聲も聞えず...
ハンス・クリスチアン・アンデルセン Hans Christian Andersen 森鴎外訳 「即興詩人」
...林下寂として人なし...
大町桂月 「杉田の一夜」
...寂として管絃の音も聞えず...
大町桂月 「千葉夜行記」
...万籟(ばんらい)寂として天地あらゆるものが...
橘外男 「墓が呼んでいる」
...苦しい!」寂としている...
田山花袋 「一兵卒」
...寂として雪を聴くかのような重い外の空気...
中井正一 「実践について」
...天地寂として声なく...
永井隆 「長崎の鐘」
...静寂として物音もなく...
萩原朔太郎 「詩の原理」
...鎮守の森にさしかゝると一同は水に浸つたかの如く寂としてしまひ...
牧野信一 「驚いた話」
...×なつかしといへば、同じ雪の夜、席ハネてかへれば天の美録の生一本、すでに長火鉢の銅壺に沸れり――好物のすゞこなど肴にひとりいさゝか傾くれば、外面(とのも)は尚も雪のひそやかに降りしきる気配、あとは寂として、万物声なし...
正岡容 「滝野川貧寒」
...彼のまわりは寂として暗かった...
トオマス・マン Thomas Mann 実吉捷郎訳 「トニオ・クレエゲル」
...大引過(おおびけすぎ)の夜は寂としていた...
森鴎外 「細木香以」
...蕭寂として何の俗音も無い...
與謝野寛・與謝野晶子 「満蒙遊記」
...寂として坐っていた...
吉川英治 「上杉謙信」
...冷寂としていた狛家(こまけ)の夜は...
吉川英治 「江戸三国志」
...陣中は寂として、墨の如く夜霧が降りていた...
吉川英治 「三国志」
...満堂激色をしずめて寂としてしまった...
吉川英治 「三国志」
...法師が、そっと覗(のぞ)いてみると、なるほど、瑯(ろうかん)みたいに白く凍(こご)えきった若者が、孤寂として、中の床(ゆか)にひとりで端座しているのである...
吉川英治 「親鸞」
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