...やっぱり、広くてきれいな客座敷があるお宅は違うわね...
...来客が多い時は、客座敷にも伺います...
...友人の家の客座敷でお茶会を開いた...
...この旅館には広い客座敷があるので、家族でゆっくり過ごせる...
...相手の地位をわきまえずに、うちの客座敷に踏み込んできた...
...お客座敷と申しますような...
泉鏡花 「伊勢之巻」
...客座敷と初代の居間との兼用になっていて...
江戸川乱歩 「孤島の鬼」
...客座蒲団がたった一枚しか無かったのです...
太宰治 「人間失格」
...広栄は客座敷へ入って往く二人の横顔を見て何かしら不安を感じた...
田中貢太郎 「春心」
...判ってるか」その時客座敷の背後(うしろ)の室(へや)には...
田中貢太郎 「春心」
...客座敷の障子をがらりと開けた...
田中貢太郎 「春心」
...前二階の広い客座敷で...
徳田秋声 「あらくれ」
...その上の二階は客座敷になっていた...
長谷川時雨 「旧聞日本橋」
...参列者を引見されるために客座敷へお出しになる時に玉鬘夫人と面会された...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...その夜一同客座敷へ集まッて四方山(よもやま)の話を始めたが...
矢崎嵯峨の舎 「初恋」
...客座敷へ寄り集まッた...
矢崎嵯峨の舎 「初恋」
...と躊躇(ためら)いながら客座敷の様子を伺うと...
矢崎嵯峨の舎 「初恋」
...一寸(ちょっと)その家の模様を談(はな)してみると、先(ま)ず通路(とおり)から、五六階の石段を上(あが)ると、昔の冠木門(かぶきもん)風な表門で、それから右の方の玄関まで行く間が、花崗石(みかげいし)の敷石伝(つた)い、その間の、つまり表から見ると、門の右側の方に武者窓(むしゃまど)のような窓のついている長屋が三軒あって、それも凡(すべ)てこの家に附いているのだ、この長屋というのは、何(ど)れもこれも、最早(もう)長年人の住まわなかったものか、床(ゆか)も壁も、ぼろぼろに頽(くず)れて、戸をあけて内へ入ると、一種嫌な臭気がプーンと鼻をつく、それ故(ゆえ)以前(まえ)に居た人なども、物置にでもつかったものらしい形跡がある、こんな風に、三軒が皆行(ゆ)き通(とお)しのようになっていて、その中央(なか)の家の、立腐(たちぐさ)れになってる畳の上に、木の朽(く)ちた、如何(いか)にも怪し気な長持(ながもち)が二つ置いてある、蓋(ふた)は開けたなりなので、気味悪(わ)る悪(わ)る内(なか)を覘(のぞ)いて見ると、別に何も入っていないが、その辺(あたり)には真黒(まっくろ)な煤(すす)が、堆(うずたか)く積(つも)っていて、それに、木の片(きれ)や、藁屑(わらくず)等(など)が、乱雑に散(ちら)かっているので実に目も当てられぬところなのだ、それから玄関を入ると、突当(つきあた)りが台所、そのまた隣の間(ま)というのが頗(すこぶ)る怪しいものだ、何しろ四方が凡(すべ)て釘付(くぎづけ)になって不開(あけず)の間(ま)ともいった風なところなので、襖戸(ふすまど)の隙から見ると、道場にでもしたものか、十畳ばかりの板敷で、薄暗いから何となく物凄いのだ、その傍(そば)の細い椽側(えんがわ)を行くと、茶席になるのだが、その間(ま)の矢張(やっぱり)薄暗い椽側(えんがわ)の横に、奇妙にも、仏壇が一つある、その左手のところは、南向(みなみむき)に庭を眺めて、玄関の方からいうと、六畳に四畳半に十畳というように列(なら)んでいる、その十畳というのが、客座敷らしい、私は初め其処(そこ)を書斎にしてみたが、少し広過ぎるので、次の四畳半に移った、六畳の方は茶(ちゃ)の間(ま)に当てたのである、転居した当時は、私の弟と老婢(ろうひ)との三人であったが、間もなく、書生が三人ばかり来て、大分賑(にぎや)かに成(な)った、家の内は、先(ま)ずこんな風だが、庭は前(ぜん)云った様に、かなり広いが、これも長年手を入(はい)らぬと見えて、一面に苔(こけ)が蒸(む)して、草が生えたなりの有様(ありさま)なのだ、それに座敷の正面のところに、一本古い桜の樹があって、恰(あだか)も墨染桜(すみぞめざくら)とでもいいそうな、太い高い樹であった、殊(こと)に茶席の横が、高い杉の木立になっていて、其処(そこ)の破(こわ)れた生垣から、隣屋敷の庭へ行けるのだ、ところが、この隣屋敷というのが頗(すこぶ)る妙で、屋敷といっても、最早(もう)家はないのだが、頽(くず)れて今にも仆(たお)れそうな便所が一つ残っている、それにうまく孟宗竹(もうそうちく)の太いのが、その屋根からぬっきり突貫(つきぬ)けて出ているので、その為(た)めに、それが仆(たお)れないで立っているのだ、その辺(あたり)は、その孟宗竹(もうそうちく)の藪のようになっているのだが、土の崩れかけた築山(つきやま)や、欠けて青苔(あおごけ)のついた石燈籠(いしどうろう)などは、未(いま)だに残っていて、以前は中々(なかなか)凝(こ)ったものらしく見える、が何分(なにぶん)にも、ここも同じく、人の手の入(はい)った様子がないので、草や蔓(つる)が伸放題(のびほうだい)、入って行くのも一寸(ちょっと)気味が悪(わ)るいほどであった...
柳川春葉 「怪物屋敷」
...いわゆる出居(でい)は拡張せられて客座敷というものができた...
柳田国男 「木綿以前の事」
...嚊座(かかざ)と相対する他の一側が客座である...
柳田国男 「雪国の春」
...客座敷二つの襖八枚...
山本周五郎 「さぶ」
...うす暗い――表の客座敷とは較べものにならない湿々(じめじめ)した古畳のうえを見た...
吉川英治 「宮本武蔵」
...「兵庫どのが、お見えにならぬが、胤舜が参ったこと、お伝えくだされたかの」今日しも、書院の客座に、二人の法弟を従えて、先刻から話している者が――その宝蔵院の二世権律師(ごんのりっし)胤舜で、その応接に、下座にあるのが、柳生四高弟の一人、木村助九郎なのである...
吉川英治 「宮本武蔵」
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