...実は梯子を下りかけたおれも...
芥川龍之介 「鼠小僧次郎吉」
...事実は遂に伝説に打勝たねばならぬのだ」と...
有島武郎 「惜みなく愛は奪う」
...その実はどこまでも心をこまかく使い...
海野十三 「少年探偵長」
...実はこうこういうわけで……と...
海野十三 「深夜の市長」
...実はな、古椅子(ふるいす)に貼ってあった皮を引剥(ひきはが)して、三日間脂(あぶら)を喰わせてよ、それから縫いに懸(かか)ったてえわけよ...
海野十三 「諜報中継局」
...実は殆(ほとん)ど全快したようなものだけれども...
谷崎潤一郎 「細雪」
...実は毛の少いまるっこい二つの腕をまくってみせた...
豊島与志雄 「黒点」
...然し実は、私は一っ子ではない...
豊島与志雄 「孤独者の愛」
...実は俺もそう思ってね...
ニコライ・ゴーゴリ Nikolai Vasilievitch Gogolj(Николай Васильевич Гоголь) 平井肇訳 「死せる魂」
...「その、実は、たゞかうしていつ迄もお話がして居たいので御座います...
牧野信一 「闘戦勝仏」
...実は害虫駆除に大功あり...
南方熊楠 「神社合祀に関する意見」
...今日の現実は、風流なすさびと思われていた三十一文字(みそひともじ)を突破して、生きようと欲する大衆の声を工場から、農村から、工事場・会社・役所から、獄中からまで伝えて来ている...
宮本百合子 「歌集『集団行進』に寄せて」
...長久手(ながくて)という地名が実は短い湫(くて)...
柳田國男 「地名の研究」
...「北風が吹くと寒いですからね」「…………」「実は校川さんが非常に事を急ぎだした」大助は坐り直して云った...
山本周五郎 「新潮記」
...この事件の真相というのも実は...
夢野久作 「暗黒公使」
...実はその通り私は通俗小説だと思う...
「純粋小説論」
...いかようにも、御援助はいたすであろう」さも誠意らしい言葉の裏に、実は、いっこう相手に要領をつかませず、言質(げんち)も取られぬように、巧みに、自己をぼかして終るのが、家康のよくやる奥の手なのである...
吉川英治 「新書太閤記」
...見ると、その男の手にある新刀は、なかなか業刀(わざもの)らしいので、武蔵が、詰問(きつもん)すると、男は、これは自分の鍛(う)った刀で、実は、あなたの体を借りて、自身で鍛ったこの刀の切れ味を試してみようとしたのですと、不心得を謝して云った...
吉川英治 「随筆 宮本武蔵」
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