...花盛りで一つも実のない、ない実の、そのあって可(い)い実の数ほど、大きな蝦蟇(がま)がのそのそと這いありく...
泉鏡花 「薄紅梅」
...これは現実の世には行なわるべからざる一種の夢に過ぎぬ...
丘浅次郎 「動物の私有財産」
...けれども、その現実の女を、あらわに軽蔑(けいべつ)しては、間違いである...
太宰治 「女人創造」
...実のところ、一同はいつとはなしに彼を待つことを忘れていたので、この不意の出現は最初の瞬間、驚愕(きょうがく)の念を引き起こしたほどであった...
ドストエーフスキイ 中山省三郎訳 「カラマゾフの兄弟」
...実のところ、私は仮面などつけるほど悪辣ではなく、むしろ素直で謙虚ではないか...
豊島与志雄 「程よい人」
...史家の研究の許されし範囲内に於ては史実の上に立ち...
直木三十五 「大衆文芸作法」
...第一、あの時に不破(ふわ)の関の関守氏の紹介によって、お銀様が西美濃の地に、かなり広大な地所を購入し、岡崎久次郎の助けを求めず、西田天香の指導を仰がずに、ここへお銀様独流の我儘(わがまま)な、自由な、圧制者と被圧制者のない、搾取者と被搾取者のない、しかしながら、統制と自給とのある新しき王国を作ろうとして、そのことをトントン拍子に進行せしめたのは、前に言う通りであるが、その土地というのは、あの時の話であってみると、足利尊氏(あしかがたかうじ)以来の名家、西美濃の水野家の土地を譲り受けるということであったが、ここへ来て見ると、これは見る通り胆吹山の南麓より山腹へかけて――北近江の地になっています――その間に、どういう変化があったのか、或いは実地踏査の結果、西美濃の地が何か計画に不足を感じているところへ、偶然この北近江の地の話があって、急に模様変えになったのか、その辺の事情はまだわからないが、しかし、北近江といっても、ここは西美濃と地つづきの地形だから、変化融通がきいて、現実の示す通り、彼女はここに王国の礎(いしずえ)を置くことになったものらしい...
中里介山 「大菩薩峠」
...ここへ持ち込んで米を精(しら)げてもらうという口実の下に...
中里介山 「大菩薩峠」
...果実の種類によってかならずしも一様(いちよう)ではない...
牧野富太郎 「植物知識」
...青葉若葉の五月十一日のこと私はヤナギの実の標本を採らんがために...
牧野富太郎 「ムジナモ発見物語り」
...多難で煩雑な女の生活の現実の間で...
宮本百合子 「ケーテ・コルヴィッツの画業」
......
宮本百合子 「獄中への手紙」
...健康な美しさと誠実の徳とを保ちたいのだ...
柳宗悦 「工藝の道」
...しかしそれは苦しい現実の出来事なのだ...
柳宗悦 「民藝四十年」
...という事実の厳粛さに...
山本周五郎 「長屋天一坊」
...若い女でも実のあるのも御座いますよ...
夢野久作 「超人鬚野博士」
...朱実のほうを見もしなかった...
吉川英治 「宮本武蔵」
...彼れの真実の分前は減少するであろうが...
デイヴィド・リカアドウ David Ricardo 吉田秀夫訳 「経済学及び課税の諸原理」
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