...宛もこれ絶美なる獅身女頭獸なり...
上田敏 上田敏訳 「海潮音」
...宛も自ら築きたつ殿堂のやうだ...
ポオル・クロオデル Paul Claudel 上田敏訳 「椰子の樹」
...電気の光りに輝らされてる四角な室、隅っこに顔を伏せている彼女、入口を塞いでつっ立っている自分、その光景が宛も、桂の中の野獣とその餌食とのように頭に映じた...
豊島与志雄 「子を奪う」
...宛も、いろいろな人間なり事実なり感情なりに当面して、それを先ず突破しまたは整理しなければ、作品にならないのと、同様であろう...
豊島与志雄 「作家的思想」
...宛も水のあるところにだけ凝り集って...
豊島与志雄 「初秋海浜記」
...宛も節穴からでも覗くようにして見守っていた...
豊島与志雄 「電車停留場」
...宛も、覗き出しかけた彼の心が再び奥深く引込んだかのようだった...
豊島与志雄 「野ざらし」
...宛も息を吐きかけられた硝子のように...
豊島与志雄 「春の幻」
...宛も人造花の姿である...
豊島与志雄 「春の幻」
...宛も石塊に彼女の像を刻むがようなものだった...
豊島与志雄 「反抗」
...宛も水中で起ったことのようだった...
豊島与志雄 「反抗」
...宛も海藻の中に浮いている...
豊島与志雄 「人の国」
...宛も彼自身の一部であるかのようだった...
豊島与志雄 「二つの途」
...どこと云ふ宛もなくうろつき廻つてゐる世界の孤児のやうにも思はれる...
平出修 「逆徒」
...金策の宛もないのに...
平出修 「計畫」
...彼の妹達に對しては、彼は、その間、前よりも幾らか優(やさ)しかつた、――宛も、單なる冷淡さではどれ位まつたく私が排斥(はいせき)され、呪はれてゐるかを十分に思ひ知らないことを恐れてゐるかのやうに、彼は姉妹に優しく私に辛い對照的壓迫を附け添へたのであつた...
ブロンテイ 十一谷義三郎訳 「ジエィン・エア」
...宛も不注意な手で描かれた不確かな意匠かなにかのやうに...
ピエル・ロチ Pierre Loti 吉江喬松訳 「氷島の漁夫」
...果ては私は眼をも瞑つて宛も石のやうになつて立つてゐた...
若山牧水 「姉妹」
便利!手書き漢字入力検索