...そして官能的なところもある悪臭だった...
海野十三 「蠅男」
...抽象的精神的な要素の多い詩を作る人がある一方ではまた具象的官能的な要素に富んだ詩に長じた人もあるようである...
寺田寅彦 「詩と官能」
...芭蕉の句の中で単に景物を詠じたような句でありながら非常になまなましい官能的な実感のある句があるのは人の知るところであろう...
寺田寅彦 「俳諧の本質的概論」
...なにしろ三十年も昔のことで大概のことは忘れてしまっているうちにわずかに覚えていることが妙に官能的なことばかりであるのに気が付く...
寺田寅彦 「二つの正月」
...要するにどちらも私にはかなりに官能的なものである...
寺田寅彦 「二つの正月」
...青江の官能的な圧迫を一々悪意にとって彼女を苦しめるには当らないじゃあないか...
豊田三郎 「リラの手紙」
...その官能的な鄙歌(ひなうた)を叱りつけてから...
中里介山 「大菩薩峠」
...音楽は最も官能的な芸術である代り...
野村胡堂 「楽聖物語」
...それは何といふ官能的な魅惑(みわく)でせう...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...官能的な異様な美しさをもった穹窿(アーチ)形の洞道だった……...
久生十蘭 「地底獣国」
...また享樂――知性を曇らせ感情をしぼますやうな無情(むじやう)な官能的な――享樂のうちに幸福を求めて此處彼處と流浪します...
ブロンテイ 十一谷義三郎訳 「ジエィン・エア」
...葡萄酒やコオヒイや官能的な音楽や舞踏なぞにかもされた...
トオマス・マン Thomas Mann 実吉捷郎訳 「ある幸福」
...前よりも官能的な血が入って来た...
トオマス・マン Thomas Mann 実吉捷郎訳 「ヴェニスに死す」
...官能的な刺戟(しげき)が全身を浸し...
三上於菟吉 「雪之丞変化」
...一種むせるような官能的なところもあって...
山本周五郎 「百足ちがい」
...揺らめきのぼって来る貴重な断片の翻える羽毛のような官能的な柔軟さに溢れている...
横光利一 「夜の靴」
...妙に官能的な音がした...
吉行エイスケ 「東京ロマンティック恋愛記」
...彼らは官能的なる一切のものを無限の感情によって凝視し...
和辻哲郎 「日本精神史研究」
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