...安直なセンチメンタリズムが厭なのである...
芥川龍之介 「東京に生れて」
...甲府市外の湯村温泉、なんの変哲もない田圃(たんぼ)の中の温泉であるが、東京に近いわりには鄙(ひな)びて静かだし、宿も安直なので、私は仕事がたまると、ちょいちょいそこへ行って、そこの天保館という古い旅館の一室に自らを閉じこめて仕事をはじめるということにしていたのである...
太宰治 「黄村先生言行録」
...安直なお弁当をお上りになると...
チェスタートン Chesterton 直木三十五訳 「青玉の十字架」
...その死を題目にした小さな詩によって安直な感傷的の情緒を味わっていた事になるかもしれない...
寺田寅彦 「小さな出来事」
...もしも安直なトーキーの器械やフィルムが書店に出るようになれば教育器械としてのプロフェッサーなどはだいぶ暇になることであろう...
寺田寅彦 「読書の今昔」
...そう安直な無価値なものであろうとは思われないのである...
寺田寅彦 「俳句の精神」
...足のうらを冷却したりする安直な納涼法の研究をしたこともあった...
寺田寅彦 「涼味数題」
...この頃たいへんはやっている安直な飲み屋が...
豊島与志雄 「早春」
...最も安直な十八文を標榜して恥じないわが道庵先生が...
中里介山 「大菩薩峠」
...安直な長脇差もあれば...
中里介山 「大菩薩峠」
...「御安直な面ぁしてやがる...
中里介山 「大菩薩峠」
...学生向きで安直なのが...
古川緑波 「牛鍋からすき焼へ」
...誰は誰をモデルにしたのだといふやうな極めて安直な興味から自分を誘つたが...
水上瀧太郎 「貝殼追放」
...長田幹彦氏あたりの安直な作品と共に賣れゆきをよくしようとするものに外ならない...
水上瀧太郎 「貝殼追放」
...まだそういう風に安直なお料理がありましょうか」と益々料理の応用を問う...
村井弦斎 「食道楽」
...そんな上等の料理は我々に入用(にゅうよう)もありませんが極(ご)く安直な西洋料理をお客に御馳走する工風(くふう)はありますまいか...
村井弦斎 「食道楽」
...牛の肝臓(かんぞう)もケンネ脂(あぶら)に包まれている腎臓(じんぞう)も心臓も胃袋も料理法次第で結構に戴けますから安直なお料理は沢山出来ます...
村井弦斎 「食道楽」
...安直な気やすめを急ぐような彼でもなかった...
吉川英治 「平の将門」
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