...安手な京焼の赤湯呑を引攫(ひっさら)うと...
泉鏡花 「薄紅梅」
...京都でもちよい/\安手なのが出来るものと見える...
薄田泣菫 「茶話」
...政吉は安手の方の塗師重(ぬしじゅう)で済まして...
高村光雲 「幕末維新懐古談」
...白ッちゃけた安手な建具であるだけに...
谷崎潤一郎 「細雪」
...「何んだ、八?」「あの、裏口に立つて居るのは、貧乏富(びんばふとみ)と言はれたやくざで、お糸をつけ廻して居た男ですよ」「どれ?」平次が振り返ると、二十七、八のちよいと男つ振りの好い、が安手な男が、あわてて姿を隱しました...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...当店ではこういう安手なものを手がけたことはない...
久生十蘭 「悪の花束」
...天狗の羽根にしてはすこし安手です...
久生十蘭 「顎十郎捕物帳」
...いかにも安手な離れ座敷だった...
久生十蘭 「金狼」
...いさゝか安手なれど値も安しとのこと...
古川緑波 「古川ロッパ昭和日記」
...屠られた身の影ともない安手の虚妄をみてとつたいま...
逸見猶吉 「逸見猶吉詩集」
...さうしてそれは各町内へどんなに安手な近代の曙光を投げかけたことだつたらう...
正岡容 「大正東京錦絵」
...日本画風なところがあるが安手ではありません...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...私の安手なところから起っていることで...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...部屋の飾りつけもけばけばしく安手である...
山本周五郎 「落ち梅記」
...セルの著物のように安手な物とならねばよいと思う...
横光利一 「欧洲紀行」
...さう中央から思ひつきやお座なりを安手に持つて行つて...
吉川英治 「折々の記」
...安手によく笑う侍は...
吉川英治 「私本太平記」
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