...唯桃色の白の縞(しま)のある三角の帆だけ風を孕(はら)んである...
芥川龍之介 「続文芸的な、余りに文芸的な」
...聖処女の肉によらずして救主(すくいぬし)を孕(はら)み給いし如(ごと)く...
有島武郎 「クララの出家」
...或る酒屋の隠居が下女を孕ませた事を...
石川啄木 「菊池君」
...モ一度清子をして自分の前に泣かせて見たい様な希望さへも心の底に孕(はら)んだ...
石川啄木 「鳥影」
...彼等が銃弾の前に斃れた時宇宙空前の太陽は孕まれていたではないか...
今村恒夫 「プチロフ工場」
...やがて帆が風を十分に孕み出し...
スティーブンソン Stevenson Robert Louis 佐々木直次郎訳 「宝島」
...独特の風格を孕むことになる...
戸坂潤 「思想としての文学」
...富士川をのぼる舟は追風(おいて)を孕(はら)んだ時はかえって...
中里介山 「大菩薩峠」
...姪(めい)を孕(はら)ませて子まで産ませて追ん出した上に...
中里介山 「大菩薩峠」
...何やら不安を孕(はら)んだまゝ...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...風に孕(はら)んで店口に流れるのです...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...お前が風を孕んだ船の帆ならば...
藤野古白 藤井英男訳 「人柱築島由来」
...しかるにまず牡驢に由って孕み...
南方熊楠 「十二支考」
...これは人知れず野馬か半野馬が孕ますに相違ないが...
南方熊楠 「十二支考」
...奇なるかなかくして馬が風のために孕まさるる事しばしばあり...
南方熊楠 「十二支考」
...嘗(かつ)て一児を孕(はら)みたる痕跡を止(とど)むるのみなる事を確かめ得たり...
夢野久作 「ドグラ・マグラ」
...次の風雲を孕(はら)み...
吉川英治 「新書太閤記」
...その戦争はさらに乾坤(けんこん)一擲(てき)な次の大戦争を大坂方とのあいだに孕(はら)んではいるが...
吉川英治 「宮本武蔵」
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