...せめて鹿の生胆(いきぎも)か熊の孕子(はらみご)でも御馳走(ごちそう)しましょう...
芥川龍之介 「犬と笛」
...のみならず死は何処へ行っても常に生を孕(はら)んでいる...
芥川龍之介 「侏儒の言葉」
...湿気を孕んだ一陣の風のわたしを送るのを感じながら...
芥川龍之介 「ピアノ」
...その傘張の娘が孕(みごも)つたと云ふ騒ぎぢや...
芥川龍之介 「奉教人の死」
...大なる理想を孕める者は...
阿部次郎 「三太郎の日記 第二」
...雪を孕(はら)んで寂然(ひっそり)とした夜の厚い空気を顫(ふる)わせて...
橘外男 「生不動」
...資本主義がどのような矛盾を孕んで来るか...
戸坂潤 「現代唯物論講話」
...ワクワクするような緊張を孕(はら)み...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
......
逸見猶吉 「逸見猶吉詩集」
...烏羽玉(うばたま)の夢ちゅう物は誠に跡方もない物の喩えに引かるるが、古歌にも「夢と知りせば寤(さめ)ざらましを」と詠んだ通り、夫婦情切にして感ずる場合はまた格別と見え、『唐代叢書』五冊に収めた『開元天宝遺事』に、〈楊国忠(ようこくちゅう)出でて江浙に使し、その妻思念至って深し、荏苒(じんぜん)疾くなり、たちまち昼夢国忠と○、因って孕むあり、後に男を生み朏(ひ)と名づく、国忠使帰るに至るにおよび、その妻具(つぶさ)に夢中の事を述ぶ、国忠曰く、これけだし夫婦相念い情感の至る所、時人譏誚(きしょう)せざるなきなり〉...
南方熊楠 「十二支考」
...天鵞に化けてこれを孕(はら)ませ二卵を産んだ...
南方熊楠 「十二支考」
...あはれ鼠の子まこと子なれば耳孕桃色に血管(ちすぢ)の脈打つも生物(いきもの)らしく今は前肢を捧げ餌食みゐるもたけし...
山口芳光 「寧日」
...孕(はら)み女の腹を裂かせてニッコリと笑った支那の古王妃の気持ち――それを近代式にデリケートにした気持ちを味わいつつ...
夢野久作 「東京人の堕落時代」
...それは民族と民族との戦いにまで馳け上る危機を孕(はら)んで廻転する...
横光利一 「上海」
...やはり時代の孕んだ子のひとりであつたことに間違ひはない...
吉川英治 「折々の記」
...また娘に畜生のたねでも孕(はら)ませようという量見だろう...
吉川英治 「雲霧閻魔帳」
...風を孕(はら)んでは...
吉川英治 「新書太閤記」
...すでに破鏡(はきょう)を孕(はら)んでいた...
吉川英治 「源頼朝」
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