...相当の距離に立ちのいて、喧々囂々(けんけんごうごう)の弥次を飛ばすところを聞いていると、「ありゃ、味鋺(あじま)の子鉄(こてつ)ですぜ」「ああ、子鉄もいよいよ年貫の納め時か」「こう囲まれちゃ、もう仕方がおまへんな――こうなると子鉄も、哀れなもんやなあ」「だが、子鉄は腕が利いとりますからな、お手先の旦那方も、只じゃあ、あの鼠は捕れませんや」「ごらん、はじめに子鉄を抑えた旦那が、ああして苦しんでおいでなさる、はっと飛びかかった時に、子鉄の右の臂(ひじ)であばらへあてられたんです」「子鉄も子鉄だが、あんなのにかかっちゃ旦那方もつらい」子鉄、子鉄と呼ぶ、あの男が子鉄というものであることは、土地ッ子の証明によって、もう間違いのないところだが、子鉄の何ものであるかを説明している場合でないと見え、その性質は旅の人には分らない...
中里介山 「大菩薩峠」
...そこで子鉄が通称となっている...
中里介山 「大菩薩峠」
...子鉄が巨魁(きょかい)となって破牢を企てた...
中里介山 「大菩薩峠」
...それをまだ解き捨てる余裕のない創男の兇賊子鉄の頭は...
中里介山 「大菩薩峠」
...子鉄も憐れなものだ! と...
中里介山 「大菩薩峠」
...手に汗を握り、固唾(かたず)を呑んでこの活劇を見物している群衆さえ、今は緊張の極になって、泣き出しそうになっている切羽(せっぱ)に、子鉄の両手が、今まで手をつける余裕さえなかった、例の笠の台だけを結んだ紐のところへかかると共に、「恐れ入りました、味鋺の子鉄の年貢の納め時でございます、お手向いは致しませぬ、神妙にお縄を頂戴いたします」早くも笠の台を引っぱずして、後ろに投げ捨てると共に、バッタリと大地にかしこまって、丁寧に両手をついて頭を下げたものです...
中里介山 「大菩薩峠」
...今まで子鉄のした悪事という悪事のうち...
中里介山 「大菩薩峠」
...この近在の味鋺(あじま)というところに生れた子鉄(こてつ)という強盗なのです」「まあ――」お角さんはお銀様の横顔を見ました...
中里介山 「大菩薩峠」
...先に七里の渡頭に於て捕われた味鋺(あじま)の子鉄であることは...
中里介山 「大菩薩峠」
...その子鉄とお銀様と何の関係(かかわり)がある...
中里介山 「大菩薩峠」
...子鉄は振返って、右の小さな尼の面(かお)をよく見たが、やがて捧げられたところの柄杓のままを口につけて、ゴクリゴクリと二口ばかり水を飲みました...
中里介山 「大菩薩峠」
...土器野(かわらけの)にて行われた味鋺(あじま)の子鉄の磔刑(はりつけ)の場面の最初から最後までを...
中里介山 「大菩薩峠」
...前述のような凶賊で味鋺の子鉄があることと...
中里介山 「大菩薩峠」
...日本男子鉄面皮(てつめんぴ)なるも...
福沢諭吉 「日本男子論」
...此年棠軒二十、妻柏十九、全安の女梅四つ、柏軒並妻俊四十四、妾春二十九、子鉄三郎五つ、女洲十三、国十、安二つであつた...
森鴎外 「伊沢蘭軒」
...此年棠軒二十五、妻柏二十四、女長五つ、良三つ、全安の女梅九つ、柏軒四十九、子鉄三郎十、女洲十八、国十五、安七つ、琴四つ、妾春三十四、榛軒未亡人志保五十九であつた...
森鴎外 「伊沢蘭軒」
...成斎が柏軒の子鉄三郎を待つに...
森鴎外 「伊沢蘭軒」
...多く伊沢柏軒の子鉄三郎を相手にして...
森鴎外 「渋江抽斎」
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