...離縁状は横浜の土を踏むと一緒に嬶(かかあ)に向けてぶっ飛ばしてあるんだ」といってあぐらの膝(ひざ)で貧乏ゆすりをし始めた...
有島武郎 「或る女」
...今の村長樣の嬶樣でせえ...
石川啄木 「赤痢」
...嬶のおこるのも無理はねいだよ...
伊藤左千夫 「隣の嫁」
...一見筋の悪い口入屋の嬶(かかあ)と云つた風の女が妙な苦笑を浮べながら石階を降りて小さな自分の包を取りに隅の方の腰掛の傍に行つた...
伊藤野枝 「監獄挿話 面会人控所」
...そこでお嬶さん、愚庵の立前(たちまえ)を引いて、お前さんに、小判で十両上げよう」「小判十両! 結構で御座います」「まアお待ちよ...
江見水蔭 「悪因縁の怨」
...探して来ましょう」慾に目の眩(くら)んだ茶店の嬶さんは...
江見水蔭 「悪因縁の怨」
...みんな乞食だって嬶もあれば...
添田唖蝉坊 「乞はない乞食」
...羽織がありません」「ああ嬶の奴が羽織を入れるのを忘れやがつたのだらう...
談洲楼燕枝(二代) 「燕枝芸談」
...わしの嬶(かかあ)にしてしもた...
直木三十五 「南国太平記」
...ああ 奧さん! 長屋の上品な嬶(かかあ)どもそこのきたない煉瓦の窓から乞食のうす黒いしやつぽの上に鼠の尻尾でも投げつけてやれ...
萩原朔太郎 「定本青猫」
...「あんなやりっ放しのお喋舌を嬶にしたら...
葉山嘉樹 「山谿に生くる人々」
...大山の嬶が焚きつけられたりして...
葉山嘉樹 「山谿に生くる人々」
...嬶の羚羊はお嬢さまが手綱(たづな)をつけて『大平場(グラン・プラトオ)』の下まで引っぱって来るんでございまス...
久生十蘭 「ノンシャラン道中記」
...十六世紀にナヴァル女王マーゲリットが書いた『エプタメロン』三四譚に述べたは、一夜灰色衣の托鉢僧二人グリップ村の屠家に宿り、その室と宿主夫婦の寝堂の間透き間多き故、臥(ね)ながら耳を欷(そば)だて聞きいると、嬶(かか)よ、明朝早く起しくれ、灰色坊主のうち一疋はよほど肥えているから殺して塩すると大儲けのはずと言う...
南方熊楠 「十二支考」
...「うちの嬶(かかあ)に粥(かゆ)を持たせてよこすと...
山本周五郎 「赤ひげ診療譚」
...「……嬶(かかあ)は死ぬが死ぬまで譫言(うわごと)に...
夢野久作 「空を飛ぶパラソル」
...又蟹口も自烈度(じれった)いくらいの嬶(かかあ)孝行というのが評判であった...
夢野久作 「衝突心理」
...あさっでは久し振りで嬶(かかあ)の顔でも見ますべえかなあ……」「老爺さんは今まで何処にいたんだえ...
吉江喬松 「木曾御嶽の両面」
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