...折角着飾って来た蒔岡家の三姉妹は、あたりの空気に遠慮してコートを脱がずにしまったが、幸子が傍へ寄って行って、今朝は有難う存じました、主人に相談致しましたところ、御洋行の間際(まぎわ)になるまで妹のことをお心にお懸け下さる御親切に対しては、何とお礼を申上げてよいやら言葉もない、そう伺えば尚更やけれども、たといそう云うお話がのうても、是非三人で送別会へ出席せないかんところやと申しますので、………と、そう云うあとから貞之助が又重ね重ね礼を述べると、まあ嬉しい、皆さんでお出で下さるなんて、と、井谷はえらい喜びようで、ではきっとお待ちしておりますよ、委(くわ)しいことは明日必ずお電話しますから、………などと云って、動き出した汽車の窓から挨拶(あいさつ)する時にも、又そのことを繰り返した...
谷崎潤一郎 「細雪」
...嬉しいやうな心地がして...
谷崎潤一郎 「猫と庄造と二人のをんな」
...逢へばやつぱり嬉しい...
種田山頭火 「其中日記」
...頭の中に慶子の最後の笑顔と「嬉しい!」と云った言葉とが蘇ってきた...
豊島与志雄 「蘇生」
...日支人にとって嬉しいことである...
豊島与志雄 「北支点描」
...あなたと一緒に関ヶ原へ参りましょう」「ああ嬉しい」「わたくしはここに待っておりますから...
中里介山 「大菩薩峠」
...どんなに嬉しいかしれはしないが――」母親は真っ紅になって差し俯向(うつむ)くお静を振返って...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...「泣くほど嬉しいのさ...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...なんともいへず嬉しい...
長谷川時雨 「四人の兵隊」
...あたしとても嬉しいわ...
ニコライ・ゴーゴリ Nikolai Vasilievitch Gogoli 平井肇訳 「狂人日記」
...嬉しいやら迷惑やら...
フレッド・M・ホワイト Fred M. White 奥増夫訳 「道化玉座」
...君の嬉しい顔がみられる」ベスが控えめにそう願い...
フレッド・M・ホワイト Fred M. White 奥増夫訳 「謎の四つ指」
...私はそう嬉しい様にも感じ無くアアそうかという位の気持ちであった...
牧野富太郎 「植物記」
...トントンと一席の片付いてしまったことは嬉しいが...
正岡容 「寄席」
...又「嬉しい嬉しい...
松永延造 「職工と微笑」
...嬉しいことには、今年も早や、春が訪れて、つい、二三日前から、家の庭に鶯が来て、しきりに囀っている...
宮城道雄 「春雨」
...「ああこの辺へ来るのは久しぶりで何だか嬉しい」と云った...
宮本百合子 「九月の或る日」
...「ねエ、お嬢様、うれしいでしょう」「私は、何だか胸がワクワクして、嬉しいのだか、悲しいのだか分らない」「金吾様は、そのまま死んでしまいはしないかと、それを心配しているのでしょう...
吉川英治 「江戸三国志」
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