...それほどまでに媚びようとするあの男の熱情が...
芥川龍之介 「袈裟と盛遠」
...ものごしの媚びるにつれて...
大手拓次 「藍色の蟇」
...更に彼は媚びるやうに小説家を見てから...
武田麟太郎 「釜ヶ崎」
...余が官能に媚び余が自我心に服従するものゝみ美なり...
登張竹風 「美的生活論とニイチエ」
...策略とか媚びとか卑下とか或は威嚇とか...
豊島与志雄 「自由人」
...何か物がほしい時には、にゃあにゃあじゃれついて、媚びへつらうが、用が無くなれば、知らん顔をして、そっぽ向いて、呼んでも返事をしない...
豊島与志雄 「猫先生の弁」
...力をこめた媚びるような調子で言い進んだ...
ビクトル・ユーゴー Victor Hugo 豊島与志雄訳 「レ・ミゼラブル」
...それと反対な態度で――つまり媚びて見るのである...
牧野信一 「坂道の孤独参昧」
...がそれでも上に媚びて給料の一円もあげて貰いたいと女々(めめ)しく勝手口から泣き込んで歎願に及んだ事は一度も無く...
牧野富太郎 「牧野富太郎自叙伝」
...一種媚びを含んだ微笑をすら口元にほのめかして...
三上於菟吉 「雪之丞変化」
...殊の外三田の好みに媚びた...
水上滝太郎 「大阪の宿」
...それに媚びる卑怯な奴等が何時でも害を醸すのだ...
宮嶋資夫 「恨なき殺人」
...お前さんもこの媚びるような物の音(ね)がお好(すき)なの...
Johann Wolfgang von Goethe 森鴎外訳 「ファウスト」
...そのときの驚きを示した中に媚びを閃せてゐる妻の表情を感じることが出來た...
横光利一 「悲しみの代價」
...媚びるやうな眼を投げた...
吉井勇 「酔狂録」
...十常侍に媚びおもねって...
吉川英治 「三国志」
...一般人の愛や同情に媚び諂(へつら)うでもなかったのである...
吉川英治 「忘れ残りの記」
...一杯を思ひきりかねし酒ゆゑにけふも朝より醉ひ暮したりなにものにか媚びてをらねばならぬ如き寂しさ故に飮めるならじか醉ひぬればさめゆく時の寂しさに追はれ追はれて飮めるならじかその二...
若山牧水 「樹木とその葉」
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