...それは彼等の好意を得ることにも何か彼等の権力に媚びる卑しさの潜んでゐる為だつた...
芥川龍之介 「大導寺信輔の半生」
...可愛らしい(以下四十六字伏字)ちょっと唇を押し当てて媚びるような微笑を遠くの方から送ります...
大倉※[#「火+華」、第3水準1-87-62]子 「耳香水」
...無意識的な媚びをたたえて睨(にら)むようにした...
高見順 「如何なる星の下に」
...媚びる心も無かつた...
太宰治 「義務」
...」エレナは媚びるやうな調子で...
ドストエウスキー Fyodor Mikhailovich Dostoevski 森林太郎訳 「鰐」
...余が官能に媚び余が自我心に服従するものゝみ美なり...
登張竹風 「美的生活論とニイチエ」
...木村に媚びていたのである...
豊島与志雄 「夢の図」
...俺の宗旨は、代々山王様宗だが、死んだら一つ、今の合の手でお馬は栗毛で金の鞍ってんだ」富士春が、媚びた眼と、笑いとを向けて「お静かに」と、いった...
直木三十五 「南国太平記」
...媚びた眼で見上げる顔へ...
直木三十五 「南国太平記」
...それに媚びようとする彼の黒猫の眼附が...
中島敦 「プウルの傍で」
...病に媚びず横浜の女医ドクトル・シモンズの説に...
福澤諭吉 「福翁自伝」
...殊の外三田の好みに媚びた...
水上滝太郎 「大阪の宿」
...ほとんど人に媚びるような眼の色であつた...
三好十郎 「肌の匂い」
...気のつかない間は男に媚びているみたいなものよ...
室生犀星 「蜜のあわれ」
...今日は来り媚びん...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...そのときの驚きを示した中に媚びを閃せてゐる妻の表情を感じることが出來た...
横光利一 「悲しみの代價」
...この国、黄賊の大軍に攻蝕(こうしょく)せらるること久しく、太守の軍、連年に疲敗(ひはい)し給い、各地の民倉は、挙げて賊の毒手にまかせ、百姓蒼生(そうせい)みな国主の無力と、賊の暴状に哭(な)かぬはなしと承る」あえて、媚びずおそれず、こう正直にいってからさらに重ねて、「われら恩を久しく領下にうけて、この秋(とき)をむなしく逸人(いつじん)として草廬(そうろ)に閑(かん)を偸(ぬす)むをいさぎよしとせず、同志張飛その他二百余の有為の輩(ともがら)と団結して、劉玄徳を盟主と仰ぎ、太守の軍に入って、いささか報国の義をささげんとする者でござる...
吉川英治 「三国志」
...一般人の愛や同情に媚び諂(へつら)うでもなかったのである...
吉川英治 「忘れ残りの記」
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