...磯辺で歌って居る遊女の哀婉の調を帯びた恋歌の声が水のやうに...
池宮城積宝 「奥間巡査」
...柱に凭(もた)れている女中は婉転(えんてん)たる京都弁で何とか言っては笑った...
高浜虚子 「子規居士と余」
...婉曲(えんきょく)に断りの意味を通じて帰って来たが...
谷崎潤一郎 「細雪」
...本家が承知してくれないからと云うことにして随分婉曲(えんきょく)にその意味を通じたつもりであったが...
谷崎潤一郎 「細雪」
...撫子(なでしこ)などが美しくその婉(しを)らしい影を涵(ひた)して居た纔(わづ)か三尺四方に過ぎぬ田池の有つた事を...
田山花袋 「重右衛門の最後」
...庸三はもちろん他の男にも同じ表情をしあるいはもっと哀切凄婉(せいえん)な眉目(びもく)を見せるであろう瞬間を...
徳田秋声 「仮装人物」
...自分の気持を婉曲(えんきょく)に表現することもできず...
徳田秋声 「縮図」
...そう学問的に婉曲に持ち出す間は...
中里介山 「大菩薩峠」
...もう少し婉曲(えんきょく)な言い廻しもあろうものを...
中里介山 「大菩薩峠」
...凄婉(せいゑん)な瞳を擧げて...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...谷村はごく婉曲(えんきょく)に妾に言いよったことがありました...
平林初之輔 「華やかな罪過」
...高潔婉麗の筆、高雅端壮の文、情義兼ね至り、読者をして或は粛然襟(えり)を正さしめ、或は同情の涙を催さしめ、また或は一読三歎、案(つくえ)を打って快哉(かいさい)を叫ばしむるところもある...
穂積陳重 「法窓夜話」
...それは婉曲(えんきょく)におことわりした...
堀辰雄 「菜穂子」
...従つて玄関先の快、入谷の婉、此らはいづれも黙阿弥その人の創作である...
正岡容 「下谷練塀小路」
...詩想の精細になり婉麗(えんれい)になりながら...
正岡子規 「人々に答ふ」
...ハリイは小さな「燕」との優婉(ゆうえん)な格闘の新しい方法を案出していた...
トオマス・マン Thomas Mann 実吉捷郎訳 「ある幸福」
...優婉(あでやか)な姿を庭先に見せることも極めて稀であった...
吉川英治 「剣難女難」
...哀婉(あいえん)切々の情...
吉川英治 「三国志」
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