...婉曲な立ち退き策が成功して...
犬田卯 「沼畔小話集」
...幽婉奇聳の新聲、今人胸奧の絃に觸るゝにあらずや...
上田敏 上田敏訳 「海潮音」
...桑はその女をつくづく見るに婉然たる李であったから覚えず涙を流した...
田中貢太郎 「蓮香」
...いくら辞柄を婉曲(えんきょく)にしてみたところで...
谷崎潤一郎 「細雪」
...婉曲(えんきょく)な云い方でそのことを諷(ふう)していたのであろうが...
谷崎潤一郎 「細雪」
...ここを占有しているドイツは東洋の咽喉(いんこう)を扼(やく)しているようなものだという意味を婉曲に匂わせながら聴衆の中に交じっている日本留学生の自分の顔を見てにこにこした...
寺田寅彦 「ベルリン大学(1909-1910)」
...婉曲に所有者の有頂天を甘やかし...
戸田豊子 「歩む」
...春信の板画の幽婉(ゆうえん)高雅にして詩味に富めるはむしろ科学の閑却に基(もとづ)けるものの如し...
永井荷風 「江戸芸術論」
...春信が板画の彩色はその幽婉なる画題と同じく...
永井荷風 「江戸芸術論」
...一層幽婉(ゆうえん)になったではないか...
永井荷風 「曇天」
...あるいは婉約(えんやく)の情...
夏目漱石 「文芸の哲学的基礎」
...その凄婉(せいえん)な眼を閉じて...
野村胡堂 「青い眼鏡」
...」という哀婉(あいえん)な一章などを拾い読みしたりしつつ...
堀辰雄 「大和路・信濃路」
...幽婉縹渺(ゆうえんひょうびょう)として底知れぬ観である――不図耳を澄ますと...
牧野信一 「ゼーロン」
...これ婉麗にして美術的なる趣向ならん...
正岡子規 「俳諧大要」
...又妻君も自分の友人の悪口を婉曲にいって...
正宗白鳥 「空想としての新婚旅行」
...当夜の華燭(かしょく)から七日七夜にもわたる招宴や賀車(がしゃ)の往来の生きた絵巻を繰るにも勝(まさ)る典雅婉麗(てんがえんれい)な盛事(せいじ)は...
吉川英治 「親鸞」
...これらの点から判断してこの弥陀画像は平安朝の柔婉(じゅうえん)な趣味が頭をもたげ始めた時代の最も古い時期の製作かとも思われる...
和辻哲郎 「古寺巡礼」
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