...娘盛りになつてからは...
石川啄木 「天鵞絨」
...娘盛りになつてからは...
石川啄木 「天鵞絨」
...綾子刀自の娘盛りの時代を妙なことで能(よ)く知っている...
高村光雲 「幕末維新懐古談」
...船場時代から娘盛りの年頃になるまで...
谷崎潤一郎 「細雪」
...平生慈悲をかけられて、親からは、何か申しつけられて、十七や、八で――お方など、あの娘盛りには、四国町の小町娘で、付文を読むのに忙がしかったばかりでござろうがな...
直木三十五 「南国太平記」
...「あなたも女です、今ここに女性として、私の親近の一人を見ていますと、その女性は、娘盛りという、人生に二度とない花の時代でした、ああ、それを自分は、ただ自分の助手としてのみ、便利有用なる道具としてのみ認めて、女性として、娘ざかりとしての、あなたというものを見て上げることができなかった、むしろ、その余裕を今日まで持ち得なかったということに、大きな慚愧(ざんき)を感じました、己(おの)れというものに熱中している間に、知らず識(し)らず人を犠牲にしていた大きな罪を、覚らずにはいられません、それを、今という今、痛切に責められたものですから、思わず歎息となりましたのです」「何をおっしゃいますか、わたくしには聞えませぬ」とお松も、つとめて冷静を保つ心で駒井の言い分に応対をして、「女としての私が、お傍に働いてお気に召さぬならば、いつでも引下らせていただきます、微塵お怨(うら)み申し上げる心などはござりませぬ、幸い、わたくし、子供の時から骨折仕事にも慣れておりますから、明日からでも開墾の皆様と御一緒に、草も刈りましょう、水も運びましょう、その方が、わたくしの身にも相応しているに違いありません」駒井は、それを押しなだめて申しました、「そういう意味に取ってもらっては迷惑します、今ここから君に離れられては、君に代るべき人がない、人がないから、やむを得ず君に働いていてもらうのではない、たとえ幾人の適任者がありましょうとも、君を措(お)いて、助けてもらえる人は現在の駒井にはないのです、拙者が済まないと思うのは別の意味ではありません、女性の一人を、女性として扱うことをせずに、単に便利なる使用人として一生を廃(すた)らせてしまうその責任が、この駒井にありはしないか、世が世ならば、そなたのために、よき連合いを求めて、立派な家庭の人として仲立(なかだち)して上げるべきはずなのに、それをせずに、こうして、いい気になって、娘ざかりをあだに過させ、今後とても、そういう希望を以て、君を世に出して上げることが覚束ない、それを思うと、自分の罪に戦(おのの)かずにはいられないのです...
中里介山 「大菩薩峠」
...娘盛りの頃、強盗に手籠(てごめ)にされそうになって、銀簪で眼を突いて危ういところを免(まぬか)れたことがありました...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...主人の姪(めひ)のお豊といふのは、十八の娘盛り...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...娘盛りの脂(あぶら)が乘きつてゐるのと...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...お由利(ゆり)といふのは十八の娘盛り...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...もう一人前の娘盛りなのに...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...もう十九の娘盛りですが...
野村胡堂 「笑う悪魔」
...生活の足しにして娘盛りを過してしまつたが...
長谷川時雨 「日本橋あたり」
...多年の競争相手だった米国コリンス会社を完全にノックアウトした(一八五八年)ほどの実力――柄は小さいがサーヴィスは満点という娘盛りの一大船隊を擁(よう)して控えていた...
服部之総 「黒船前後」
...年は鬼もという十八の娘盛り...
二葉亭四迷 「浮雲」
...そろそろ娘盛りになっていた娘たちはくらべるものなく優しい父カールをお父さんとは呼ばなかった...
宮本百合子 「カール・マルクスとその夫人」
...大兵肥満(だいひょうひまん)の大女なれども鬼も十八の娘盛りとて薄黒い顔に白粉(おしろい)をコテと塗り...
村井弦斎 「食道楽」
...お静はすっかり娘盛り...
山中貞雄 「森の石松」
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