...漣の『妹背貝(いもせがい)』と...
内田魯庵 「硯友社の勃興と道程」
...漣はその時あたかも『新著百種』中の『妹背貝』を書終って...
内田魯庵 「硯友社の勃興と道程」
...また、中国などの家父長制をみれば、その親族組織は親等的で、その内部に幾つかの夫婦と子の小家族を擁しているが、わが古代にあっては、祖子(オヤコ)、妹背(イモセ)、兄弟(エオト)等の類別的親族組織で、その内部に包含しているのは、親母(イロハ)、親兄(イロセ)、親姉(イロネ)、親弟(イロト)、親妹(イロモ)等の母子の小家族であって、この小家族が父を欠いていることは、親父(イロチ)という語がまったく古語中に見当たらないことでわかるのである...
高群逸枝 「女性史研究の立場から」
...これとお経の読みかたとを習うために惜しいところで妹背山(いもせやま)の芝居を切り上げて...
谷崎潤一郎 「蓼喰う虫」
...その二妹背山(いもせやま)津村は何日に大阪を立って...
谷崎潤一郎 「吉野葛」
...あれがその妹背山か」と思い...
谷崎潤一郎 「吉野葛」
...いつも川下から眺めてばかりいた妹背山のある方へ取った...
谷崎潤一郎 「吉野葛」
...妹背の山は、あの橋の上で眺めた時はもっとずっと上流にあるように思えたが、ここへ来るとつい眼の前に立つ二つの丘であった...
谷崎潤一郎 「吉野葛」
...妹背山の次には義経千本桜(よしつねせんぼんざくら)があるんだよ」と...
谷崎潤一郎 「吉野葛」
...つまり妹背山の作者が実景を見てあの趣向を考えついたように...
谷崎潤一郎 「吉野葛」
...忠臣蔵四段目、二度目の清書、妹背山三段目、杉酒屋、安達原三段目などは、私は写しもし、またいくらか暗記もした...
内藤鳴雪 「鳴雪自叙伝」
...語らい遊ぶ妹背(いもせ)の山鳥...
中村清太郎 「ある偃松の独白」
...妹背山(いもせやま)の漁師鱶七のように横柄に着膨れて谷川に沿った一本道を歩いて行ったが...
久生十蘭 「生霊」
...踰(こ)えれば先は妹背山(いもせやま)...
二葉亭四迷 「浮雲」
...峰を隔てた山鳥の妹背(いもせ)のような気がして苦しかった...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...妹背の契りを結ぶ者は有り得なかつた...
柳田國男 「家を持つといふこと」
...土佐(とさ)の妹背島(いもせじま)の由来として著録せられている...
柳田国男 「木綿以前の事」
...あることか、二三日のちの消息は、新男君(にひをとこぎみ)、うちつけに、その夜中より病して、妹背の契り、空しくも、うたかたとなり、永久に帰らぬ国へ、翌る日の十七日に、赴くと、逝(かく)れましぬと、云ふものか、報ずるものか...
與謝野晶子 「晶子詩篇全集拾遺」
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