...かつ過日の暴風雨に天幕(テント)糧食等を奪われたため...
芥川龍之介 「白」
...しかも私の愛はなお足ることを知らずに奪おうとしている...
有島武郎 「惜みなく愛は奪う」
...然し、それではまだ足りないと思つてか、義雄が爐を右にしてがらす窓のそばの小机にもたれてゐるのを押しのけ、その席を奪つて、自分が机に向ひ、渠をじらすつもりで手紙を書き出す...
岩野泡鳴 「泡鳴五部作」
...しかし星尾は豊乃に奪取(だっしゅ)されたことを知らないらしい...
海野十三 「麻雀殺人事件」
...財産を奪い、この片輪の連中を連れ去ったらどうすることも出来ないだろう...
江戸川乱歩 「孤島の鬼」
...その悪魔は最初は友人または雇われ男をよそおってはいりこむがやがて一家全体を奪い...
ソーロー Henry David Thoreau 神吉三郎訳 「森の生活――ウォールデン――」
...守れる山羊を奪ひ取り...
ホーマー Homer 土井晩翠訳 「イーリアス」
...奪い取るように兵馬の身体を南条という武士の手から受取って...
中里介山 「大菩薩峠」
...気狂が集合して鎬(しのぎ)を削(けず)ってつかみ合い、いがみ合い、罵(ののし)り合い、奪い合って、その全体が団体として細胞のように崩(くず)れたり、持ち上ったり、持ち上ったり、崩れたりして暮して行くのを社会と云うのではないか知らん...
夏目漱石 「吾輩は猫である」
...あるいは慈悲の心を見出すことが出来るかね? どうして可哀想な子供から一夜にして財産の半ばを奪ったような色男にはたった二ヶ月の禁固刑なのに...
バルザック Honore de Balzac 中島英之訳 「ゴリオ爺さん」
...そして外に頼るところのない多数のものからこのように突然生計の途を奪ったので...
トマス・ロバト・マルサス Thomas Robert Malthus 吉田秀夫訳 「人口論」
...人生のすべての喜びをわれより奪う」と...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...名利の争奪振りを横目に睨んでいた...
夢野久作 「近世快人伝」
...私が今まで当の敵として睨んで来た美少女……憎んでも飽き足らぬ奴と思って生命(いのち)がけで追い詰めて来た疑問の女……三人の生命(いのち)を手を下さずして奪ったとも見られる恐るべき怪美人……それが最早(もう)死んだものと思って安心して這入って来た私は...
夢野久作 「暗黒公使」
...S城の市民はQ城のために久しくその武力を奪はれてゐた報酬として...
横光利一 「静かなる羅列」
...他郡の土豪に攻め奪られ...
吉川英治 「平の将門」
...他人の幸福を密(ひそか)に奪おうなどという野心は抱けなかった...
吉川英治 「宮本武蔵」
...慣習が絶対必要品たらしめている慰楽物を奪ってしまう...
デイヴィド・リカアドウ David Ricardo 吉田秀夫訳 「経済学及び課税の諸原理」
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