...併し空と山と野と海と人の心との奧に流れてゐる不思議な生命に觸れて之と共に生きる時...
阿部次郎 「三太郎の日記 第二」
...奧の間でお通夜してくれる人達の話聲が細々と漏れる...
伊藤左千夫 「奈々子」
...あの深(ふか)い山岳(さんがく)の奧(おく)には屹度(きつと)何(なに)か怖(おそろ)しいものが潛(ひそ)んでゐるに相違(さうゐ)ないと考(かんが)へた...
伊東忠太 「妖怪研究」
...アンナ ところがそんなことはございませんよ、奧さま...
ヘンリック・イブセン Henrik Ibsen 島村抱月譯 「人形の家」
...三藏はそんな事を考へつゝ足は進まぬながら四條の大橋にかゝり小橋を渡り遂にすご/\と奧村に歸る...
高濱虚子 「俳諧師」
...嵯峨の奧に夜半(よは)かけて迷ひ來りし時は我れ情なくも門(かど)をば開(あ)けざりき...
高山樗牛 「瀧口入道」
...私は琵琶湖の奧の絶景を人から聞いてゐたのは長いことであつたが...
近松秋江 「湖光島影」
...君の奧さんに紹介してもらおうじゃないか...
ドストエーフスキイ 神西清訳 「永遠の夫」
...奧(おく)さんは女学生(がくせい)らしさのまだ十分にぬけきらない若々(わか/\)しいひとみを青木さんに投(な)げかけた...
南部修太郎 「夢」
...つまらない事を言ふと取返しが付かないよ」奧から...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...奧の間に寢かしたまゝ...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...爪先は奧から風呂場の方へ向いて居るが」「あわてて...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...夫人は我々を奧まつた室へ導き長椅子に請じ...
濱田耕作 「シュリーマン夫人を憶ふ」
...奧の院の御船石の附近から出る舟形石と云ふ御守を出すのを貰つて來た...
濱田耕作 「石鏃の思出話」
...ペン軸のこはれたのなンかが紙反古といつしよにひきだしの奧にはいつてゐたりする...
林芙美子 「秋果」
...轉任でコオフンしてゐられるらしい奧原氏の爲に...
林芙美子 「摩周湖紀行」
...表面(うはべ)には見えねど世間の奧樣といふ人達の何れも面白くをかしき中ばかりは有るまじ...
樋口一葉 「十三夜」
...信濃高原の西方を繞る山脈の奧深く...
吉江喬松 「山岳美觀」
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