...博士は奥の部屋から一枚の白布を探し出して来て...
江戸川乱歩 「悪魔の紋章」
...奥の方を覗いて見たが...
江戸川乱歩 「孤島の鬼」
...その同志にして親友なるエリゼ・ルクリュが「クレボーの囚人はその監房の奥からその友人と語るの自由を持たない...
大杉栄 「獄中消息」
...笹村が奥へ大声で叫んだ...
徳田秋声 「黴」
...科学者はつとめてその両者を無意味、没交渉に看過せしめようとするけれども、人心の奥底には、誰しもその脈絡を信じようとしてやまぬものがあるらしい...
中里介山 「大菩薩峠」
...さっき奥様が言い付けておいでなすったぜ」「そりゃ分っているよ」と神さんは悪口の三分の一を引き受けると云う意味を示す...
夏目漱石 「吾輩は猫である」
...一番奥が五兵衛の殺された部屋になっております...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...平穏無事な奥さんの心を揺すぶって...
林芙美子 「帯広まで」
...娘にて倉の板敷踏みたるにまさり冷き奥山の路聯想といふか錯覚といふかとても面白い聯想である...
平野萬里 「晶子鑑賞」
...ははははは、仲なか巧いことを言う――まあ、奥さん、それはそれとして、何卒(どうぞ)これに御署名を」秘書から告白の写しを受取って、その下段の余白を指さしながら、課長はルウスにペンを握らした...
牧逸馬 「アリゾナの女虎」
...(富士見の渡しがそれだとのちにをしへられた)大川のながれから奥深く小さい長方形に屈り入つてゐる一角で...
正岡容 「下町歳事記」
...ところが帳(とばり)の奥の隣室には...
トオマス・マン Thomas Mann 実吉捷郎訳 「トニオ・クレエゲル」
...その中(うち)に心の奥底まで武丸の妙技に魅入られて来た...
夢野久作 「黒白ストーリー」
...懐(ふところ)の奥の方から小さな革のサックを出して...
夢野久作 「一足お先に」
...まったく、誰かそばにいた奴が」「いかんよ、後で聞こう」「冤罪(えんざい)だ、動物とは、何ですか」「よせ! 興奮するな」そこへ、会社の給仕が、扉を開けて、「奥様、お馬車が参りました」刑事や守衛は、いっせいに壁へひらいて、「とんだご迷惑をかけましたが、どうぞ、ご主人に、悪しからず」「じゃ、後はどうぞ……」トム公は、立(た)ち塞(ふさ)がった...
吉川英治 「かんかん虫は唄う」
...扇屋の奥二階でチラとお見受け申したのじゃ...
吉川英治 「剣難女難」
...黒い杉木立の奥に今...
吉川英治 「宮本武蔵」
...でも古川氏の奥さんが...
吉川英治 「忘れ残りの記」
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