...生徒達は最も奇態な...
エドワード・シルヴェスター・モース Edward Sylvester Morse 石川欣一訳 「日本その日その日」
...この古ぼけた奇態な...
太宰治 「女生徒」
...どうもなんだか奇態に見えたからである...
太宰治 「ダス・ゲマイネ」
...一旦則重を鼻缺けにして彼の奇態な性慾的興味が充(み)たされてしまうと...
谷崎潤一郎 「武州公秘話」
...此の奇態な道化船の進路を見送ります...
谷崎潤一郎 「幇間」
...「驢馬先生、おまえのこのひと言は金貨一枚だけの値打ちがあるぞ、ほんとに今日おまえにくれてやるわい、だが、そのほかのことは嘘だぞ、まっかな嘘だぞ、なあこら、おばかさん、われわれ一同がこの世で信仰を持たないのは心があさはかなからだ、なにしろ、暇がないからなあ、第一、いろんな用事にかまけてしまう、第二に神様が時間をろくろく授けてくださらないで、せいぜい一日が二十四時間やそこいらでは、悔い改めるはさておき、十分に眠る暇もないからなあ、ところが、おまえが敵の前で神様を否定したのは、信仰のことよりほかには考えられないような場合で、しかも是が非でも自分の信仰心を示さなくっちゃならないような土壇場(どたんば)じゃないかい! おいどうだ、きょうだい、一理あるだろうじゃないか?」「一理あるにはありますがね、まあ、よく考えて御覧なさい、グリゴリイ・ワシーリエヴィッチ、一理あればこそ、なおのこと、わたしにとって罪が軽くなるというものです、もしわたしが間違いのない正当な信仰を持っていたとしたら、その信仰のための受難に甘んじないで、けがらわしい回々教(フイフイきょう)へ転んだのは、全く罪深いことに違いありませんよ、しかし、それにしても、責め苦を受けるというところまではいかないで済んだはずですよ、だって、その時、眼の前の山に向かって、さあ動いて来て敵をつぶしてしまえと言いさえすれば、山は即刻動きだして、敵のやつらを油虫かなんぞのように押しつぶしてしまったはずです、そうすれば、わたしは何ごともなかったように、鼻うたでもうたいながら、神の栄光をたたえながら引き上げて行きますよ、ところが、もしその土壇場になって、そのとおりにやってみて、わたしがその山に向かって敵を押しつぶしてくれと、わざと大きな声でどなったところで、山がいっこう敵を押しつぶしてくれそうにないとしたら、わたしだってそんな恐ろしい命がけの場合に、どうして疑いを起こさずにいられるものですか? それでなくても、とても天国へなどまともに行きつけるものでないことを承知していますのに(だって、わたしの声で山が動かなかったところをみると、天国でもわたしの信仰をあまり信用してくれなさそうですから、たいした御褒美(ごほうび)があの世でわたしを待っているようにも思われませんからね)、何をすき好んで、そのうえ、役にも立たないのに自分の生皮を剥(は)がせる必要がありましょう? たとえ、もう半分背中の皮を剥がれながらわたしがどなったりわめいたりしてみたところで、山はびくともしやしませんからね、こんな瞬間には疑いが起こるくらいは愚かなこと、恐ろしさのあまりに、思慮分別もなくなるかもしれません、いや、分別を巡らすなんてことは全然不可能です、してみれば、この世でもあの世でも、自分に何の得になることでもなく、たいして御褒美にもあずかれないとわかったら、せめて自分の皮だけでも大事にしようと思ったからとて、それがいったいどれだけ悪いことでしょう? ですから、わたしは神様のお慈悲を当てにして、何事もきれいに許していただけるものと、どこまでもそう思っているのです」八 コニャクを飲みながら討論はこれで終わったが、奇態なことに、あれほど上々の御機嫌であったフョードル・パーヴロヴィッチが、終わりごろから急に苦い顔をしだした...
ドストエーフスキイ 中山省三郎訳 「カラマゾフの兄弟」
...奇態なのは憂愁そのものではなくて...
ドストエーフスキイ 中山省三郎訳 「カラマゾフの兄弟」
...奇態なことにあの馬は生れながら後足が三寸ばかり短いのでとても役に立たねえのです...
長塚節 「才丸行き」
...奇態(きたい)なこともあればあるものだ...
久生十蘭 「キャラコさん」
...奇態な吐息が出た...
火野葦平 「花と龍」
...『まつたくこれは奇態な本だ...
ニコライ・ゴーゴリ Nikolai Vasilievitch Gogoli 平井肇訳 「ディカーニカ近郷夜話 前篇」
...これは奇態ですなあ!」と...
ニコライ・ゴーゴリ 平井肇訳 「鼻」
...奇態なことが認められる...
トオマス・マン Thomas Mann 実吉捷郎訳 「トビアス・ミンデルニッケル」
...それが実に奇態に見えた...
トオマス・マン Thomas Mann 実吉捷郎訳 「トリスタン」
...欠陥だらけな事実の印象を獲るよりか……」「現実慾に燃えながら……まあ奇態な言葉ですのね...
トオマス・マン Thomas Mann 実吉捷郎訳 「トリスタン」
...野生して今に(およ)んだも奇態だ...
南方熊楠 「十二支考」
...その直隣りのアイヌ人がかくまで鶏に無頓著(むとんじゃく)だったは奇態だが...
南方熊楠 「十二支考」
...「やア……やア……やア奇態(きたい)だ」なにもかも忘れはてたようすである...
吉川英治 「神州天馬侠」
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