...奇態なことに、別に臭気というものを感じなかったけれど、――それは後に至って、一種の瓦斯(ガス)マスクが懸けられていたので、臭気を感じなかったことが判った――このパッと差し込んだ明るさと、パチパチと物の焼け裂けるような音響とは、八十助に絶望を宣告したも同様だった...
海野十三 「火葬国風景」
...まったく奇態なことには...
スティーブンソン Stevenson Robert Louis 佐々木直次郎訳 「宝島」
...奇態なものを見つけたゆえ...
太宰治 「地球図」
...民衆は奇態に、その洋行というものに、おびえるくらい関心を持つ...
太宰治 「如是我聞」
...何か奇態な啼き声を出す怪しい奴が隠れてゐるとでも思つたのであらう...
谷崎潤一郎 「猫と庄造と二人のをんな」
...それがいかにも奇態で場ちがいだった...
アントン・チェーホフ Anton Chekhov 神西清訳 「犬を連れた奥さん」
...その話題は奇態なものであった...
ドストエーフスキイ 中山省三郎訳 「カラマゾフの兄弟」
...「ますます奇態だ...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...奇態な弁護人だった...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...彼(あ)の禁厭(まじねえ)で火(ひ)しめしせえすりや奇態(きてえ)だから」さういつて爺(ぢい)さんは佛壇(ぶつだん)の隅(すみ)に置(お)いた燈明皿(とうみやうざら)を出(だ)して其(そ)の油(あぶら)を火傷(やけど)へ塗(ぬ)つた...
長塚節 「土」
...彼等が悪口の種にならぬ限りに於て自己独特の奇態を流行させようなどゝいふ野望を常に抱いてゐるといふこともよく分つてゐよう...
中原中也 「蜻蛉」
...わけても気になる奇態な肉瘤(こぶ)...
ジャン・ニコラ・アルチュール・ランボー Jean Nicolas Arthur Rimbaud 中原中也訳 「ランボオ詩集」
...しかも僕の元来の綽名(あだな)は「奇態な空想家」ではなかったか...
原口統三 「二十歳のエチュード」
...奇態(きたい)なこともあればあるものだ...
久生十蘭 「キャラコさん」
...やがて、途中にある支流の小川を飛び越えようとした時――全速力で駈けてゐた馬が不意に立ちどまつて、彼の方へ首を捩ぢむけると、奇態なことに、笑ひ声をあげた! そして白い歯並が闇の中で光つた...
ニコライ・ゴーゴリ Nikolai Vasilievitch Gogoli 平井肇訳 「ディカーニカ近郷夜話 後篇」
...わけもなく背中に水を浴せられたやうな思ひに打たれて(誰の眼もない隅でそんな奇態な行動をとる自身の姿が青空に嗤はれてゐる気がする!)首を縮めて逃げ出すのであつた...
牧野信一 「籔のほとり」
...「奇態ですな……」と私は一人で云った...
松永延造 「職工と微笑」
...「奇態(きたい)な奴らよ」としか思われなかった...
吉川英治 「私本太平記」
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