...「失礼ながらどちらでご勉強です...
有島武郎 「ドモ又の死」
...失礼ながら倉内車掌君も同類項(どうるいこう)です」「すると貴方は...
海野十三 「省線電車の射撃手」
...失礼ながら気に入りました」「それでは機嫌よく泊めてくれるか」「ところがその何分にもはなはだ以て...
江見水蔭 「備前天一坊」
...失礼ながらお手紙さしあげた筈(はず)でございますが...
太宰治 「狂言の神」
...いまも姉と話合つた事でしたが、お見受けしたところ、失礼ながら、あまり楽なお暮しでもないやうですし、私に半分でも畑をお貸し下されば、いい菊を作つて差し上げませうから、それを浅草あたりへ持ち出してお売りになつたら、よろしいではありませんか...
太宰治 「清貧譚」
...失礼ながらお名乗りを承りたい」この時に神尾主膳が駕籠の垂(たれ)を上げて外を見ると...
中里介山 「大菩薩峠」
...失礼ながら、あなた方がお聞きになっては少しも違わないとおっしゃる音を、わたくしが聞けば違ったと申すことがございます...
中里介山 「大菩薩峠」
...「信州の柏原の一茶の旧蹟を尋ねて、只今その帰り道なのでございます」「ははあ、なるほど、一茶はなかなか偉物(えらぶつ)ですね」「え」といって俳諧師は眼を円くし、「失礼ながら、あなたにも一茶の偉さがおわかりですか」「それは、わたしにも、いいものはいい、悪いものは悪いとうつりますよ」池田良斎が答えると、俳諧師は驟雨(にわかあめ)にでも逢ったように身顫(みぶる)いをして、「では一茶の句集でもごらんになったことがございますか」「あります、あります、『おらが春』を読みましたよ」「おらが春――たのもしい、あなたが、そういう方とは存じませんでした」俳諧師は着物の襟をさしなおして恐悦がりました...
中里介山 「大菩薩峠」
...失礼ながら、このくらいに描ける絵かきは、田舎なんぞにそうたんとは転がっておりませんよ」「恐縮です」「一枚描いて下さらんか」「御希望なら、描いて上げてもいいです」「なんでしたら、わしの屋敷へおいで下さらんか」「おたずねしてもよいが、どちらですか」「相馬です」「相馬――相馬中村ですか」「そうです、これから、北へと測量して行って相馬へ行くのですが、相馬で仕事が終るわけではありません、屋敷は相馬にあるけれど、相馬を通り越して、もっと遠くまで行くのですよ」「ははあ、家門を過ぐるとも入らず、というわけですね」「いいえ、家門を過ぎれば立寄って、妻子をよろこばせます...
中里介山 「大菩薩峠」
...失礼ながらペラペラ雑誌の紙面で発見しようとは案外であった...
中里介山 「百姓弥之助の話」
...まあ芝居見たようなものじゃありませんか」「ええ衣装(いしょう)と書割(かきわり)がないくらいなものですな」「失礼ながらうまく行きますか」「まあ第一回としては成功した方だと思います」「それでこの前やったとおっしゃる心中物というと」「その...
夏目漱石 「吾輩は猫である」
...至尊の御身上であっては、その御用心はけだし当然なのでござりましょう」といって部屋を出て行くと、間もなく古風な手提鞄を提げて戻って来、キチンと整頓された隔劃(しきり)の中からウイグ・ニスと毛束を取出し、失礼ながら、といって加十の顎にニスを塗ると、細いピンセットを使って丹念に一本ずつ髯を植え始めた...
久生十蘭 「魔都」
...』――『いや、ちょっと待って下さい、アレクセイ・イワーノヴィッチ、失礼ながら私は、チチコフ氏の農奴が逃亡すると仰っしゃるあなたの御意見には賛成できませんよ...
ニコライ・ゴーゴリ Nikolai Vasilievitch Gogolj(Николай Васильевич Гоголь) 平井肇訳 「死せる魂」
...失礼ながら城の運命は...
林不忘 「若き日の成吉思汗」
...失礼ながらアドルフ少尉だって...
トオマス・マン Thomas Mann 実吉捷郎訳 「神童」
...失礼ながらたとえば林房雄氏が真面目な文学者と見られているかどうかということは問わないとして林氏自身...
宮本百合子 「「大人の文学」論の現実性」
...「失礼ながら、お手間とってはならぬとお見受け致す、御助勢申し度い」「――御無用」と云った時である...
山本周五郎 「おもかげ抄」
...失礼ながら、又右衛門殿には、自分が嫁にゆくような勘ちがいをしておられるのではございませぬか...
吉川英治 「新書太閤記」
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