...もっともその惚方――愛――はですな、兄妹(きょうだい)のようか、従兄妹(いとこ)のようか、それとも師弟のようか、主従(しゅうじゅう)のようか、小説のようか、伝奇のようか、そこは分りませんが、惚れているにゃ違いないのですから、私は、親、伯父、叔母、諸親類、友達、失礼だが、御媒酌人(おなこうど)、そんなものの口に聞いたり、意見に従ったりするよりは、一も二もない、早手廻しに、娘の縁談は、惚れてる男に任せるんです...
泉鏡花 「婦系図」
...それからとんとん拍子に検事になり重要なポストに送りこまれた若僧――といっては失礼だが...
海野十三 「地獄の使者」
...「ぢや御客様にはえらい失礼だが...
田山花袋 「重右衛門の最後」
...それは君の長所から来てるとともに――(失礼だが)――欠点からも来ている...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...おやおや、この部屋は田山先生のお部屋だな、ほかの部屋部屋は残りなく船の方へ移されているけれども、このお部屋だけはそっくりだ、失礼だが、たいして金目のものは無かりそうだが、お描きになったものがたくさんある、他人には分らないが、御当人にはずいぶん丹念な種本かも知れない、これを暴民共に滅茶滅茶にさせてはお気の毒だ、ひとつ掻(か)き集めてこの袋に入れて、ともかくもお船へ移して置いてあげよう...
中里介山 「大菩薩峠」
...ほかになんの芸もない――といっては失礼だが...
夏目漱石 「三四郎」
...序(ついで)と云っては失礼だが...
夏目漱石 「それから」
...と云うと失礼だが...
夏目漱石 「門」
...失礼だが寒月君はやはり実験室で珠(たま)を磨いてる方がいい...
夏目漱石 「吾輩は猫である」
...失礼だが今まで語られた奇談は物の数でもない...
野村胡堂 「新奇談クラブ」
...政吉 こういっては失礼だが...
長谷川伸 「中山七里 二幕五場」
...「身どもの国許(くにもと)のことででもござるのか」「さよう――」と堀は指につばをつけて罫紙(けいし)の文字に目を走らせながら云った、「阿賀妻さん――ここに、失礼だが、あなたの足もとの、あなたの家中に、強制移民の無理がある」「県吏どもの申告が!」阿賀妻はそう吐きだした...
本庄陸男 「石狩川」
...そういっちゃア失礼だが...
松本泰 「緑衣の女」
...どこか」「失礼だが...
吉川英治 「三国志」
...失礼だが、これで……」と、客の帰りをうながして、自分もさっさと、湯殿へはいってしまった...
吉川英治 「新書太閤記」
...「失礼だが、そなたは、仁介殿の娘御か」「はい、わがまま者で、稲(いね)と申します」「主(あるじ)が不在でも、もうこの時刻、ここからは戻れぬから、言葉に甘えて厄介になるといたそう」「ええ、どうぞもうお気兼ねなく...
吉川英治 「八寒道中」
...「何事だろう? 失礼だが...
吉川英治 「宮本武蔵」
...――失礼だが、貴公は、何流を学ばれたか」剣術のことになると、自然、藤次はこの乳臭児を見下げずにいられなかった...
吉川英治 「宮本武蔵」
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