...あれほどしばしば訪問した彼の大川端の邸宅にも...
芥川龍之介 「開化の良人」
...)大川端(おほかはばた)の秋の夕暮に浪費を思つた吉井勇氏はかう云ふ点では石川啄木と...
芥川龍之介 「文芸的な、余りに文芸的な」
...大川端から投身自殺(とうしんじさつ)――はて...
海野十三 「火星兵団」
...笹川臨風氏に招かれ大川端の錦水に飲む...
永井荷風 「断腸亭日乗」
...私は毎年(まいねん)の暑中休暇を東京に送り馴れたその頃の事を回想して今に愉快でならぬのは七月八月の両月(ふたつき)を大川端(おおかわばた)の水練場(すいれんば)に送った事である...
永井荷風 「夏の町」
...音次郎は大川端でお京に會つて居り...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...「そんなイヤなところぢやありませんよ、場所は大川端町、あの邊では顏のきいた、名取屋(なとりや)三七郎といふのを親分御存じでせう」「大層な男だといふが、金儲けはうまい相だな」「その名取屋三七郎は、名古屋山三ほどの良い男の氣でゐるから大したもので」「自惚(うぬぼ)れは罪がなくて宜いよ」「ところでその内儀(おかみ)さんのお縫も惡くねえ女だが、妾のお鮒と來た日にや、品川沖まで魚が取れなくなるといふきりやうだ」「妙な譬(たと)へだな」「あんまり綺麗だから、お天氣の良い日はピカ/\して、その照り返しで大川の魚は皆んな逃げる」「馬鹿なことを言え」「魚が逃げる位だから、人間の男だつて、利口なのは寄り付かない...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...申松爺さんしよんぼりお勝手口に立つて暫らくは泣き出しさうな顏をして居るさうですよ」「――」「大川端から八丁堀は近いでせう...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...その時間には僕は大川端を漫走していた...
久生十蘭 「魔都」
...大川端の場、棒縞(ぼうじま)の糸織(いとおり)の一枚小袖、御納戸(おなんど)博多の帯一本差し、尻端折(しりはしょ)り雪駄ばきにて、白縮緬のさがりを見せ、腕組をしながら出て、花道の附(つけ)ぎはにとまり「金がかたきの世の中とはよく云つたことだなあ」と云ふ白(せりふ)、しんみりとせり...
三木竹二 「両座の「山門」評」
...本所割下水(わりげすい)から大川端(おおかわばた)辺(あたり)までの間を彷徨(ほうこう)して辻斬(つじぎり)をした...
森鴎外 「渋江抽斎」
...津軽家下屋敷の一つなる本所大川端(おおかわばた)邸が細川邸と隣接しているために...
森鴎外 「渋江抽斎」
...大川端まで来ると再び烈しい咳がこみあげ...
山本周五郎 「お美津簪」
...大川端(おおかわばた)町で「海石」という料理茶屋を...
山本周五郎 「五瓣の椿」
...夜となれば君を見るべく往きしころ大川端をさまよひしころ酒の香に黒髪の香のまじるときふと悲しみを覚えけるかなかにかくに舞台の如く酔ひ痴(し)れし河合に似たるうつくしきひとわが友の女達磨の酔ひ描きをつくづく見ればかのひとに似るその中にわが悲しみをただひとり知るひととのみ思ひ初めにし笛彼が彼の女と親しくなつたのはその秋の展覧会に出品するために「笛」と題する彫塑を制作した時...
吉井勇 「酔狂録」
...」薄命はかの大川の水あかりよりも果敢なきものとかは知る運命のかなしき星にかたどりし瞳なればかつねに潤みぬしみじみと箏の稽古に通ふよりほかにすべなき君なりしかなしみじみと悲しきときはただひとり大川端に泣きにゆく人君に似し埴(はに)とまことの君とありて夕日まばゆく窓に照るとき寂しき恋私達の恋は寂しかつた...
吉井勇 「酔狂録」
...朝まだき大川端を急いでくると...
吉川英治 「剣難女難」
...大川端をさまよい歩いたあの当時から見ても...
吉川英治 「梅里先生行状記」
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