...白菊の咲く頃、大屋根へ出て、棟瓦(むねがわら)をひらりと跨(また)いで、高く、高く、雲の白きが、微(かすか)に動いて、瑠璃色(るりいろ)に澄渡(すみわた)った空を仰ぐ時は、あの、夕立の夜を思出(おもいだ)す……そして、美しく清らかな母の懐にある幼児(おさなご)の身にあこがれた...
泉鏡花 「霰ふる」
...砂礫(すなつぶて)を捲(ま)いて、地を一陣の迅(と)き風がびゅうと、吹添うと、すっと抜けて、軒を斜(ななめ)に、大屋根の上へ、あれあれ、もの干を離れて、白帷子(しろかたびら)の裾(すそ)を空に、幽霊の姿は、煙筒(えんとつ)の煙が懐手をしたように、遥(はるか)に虚空へ、遥に虚空へ――群集はもとより、立溢(たちあふ)れて、石の点頭(うなず)くがごとく、踞(かが)みながら視(み)ていた、人々は、羊のごとく立って、あッと言った...
泉鏡花 「怨霊借用」
...大屋根を見上げた...
江戸川乱歩 「悪魔の紋章」
...かれは大屋根なんかにのぼって...
江戸川乱歩 「奇面城の秘密」
...庭から大屋根を照らし...
江戸川乱歩 「奇面城の秘密」
...西洋館の大屋根を照らしました...
江戸川乱歩 「奇面城の秘密」
...大屋根の高さになったのです...
江戸川乱歩 「奇面城の秘密」
...大屋根の中ほどに...
江戸川乱歩 「鉄人Q」
...竜吐水の水はやっと大屋根に届く位...
高村光雲 「幕末維新懐古談」
...その青田の果てるあたりに私のうちの赤い大屋根が聳えてゐた...
太宰治 「思ひ出」
...正面の馬見所の大屋根の上では...
中里介山 「大菩薩峠」
...そして自分の家の大屋根にゆく仕かけだった...
長谷川時雨 「旧聞日本橋」
...彼はいま辞して来た大屋根を振向いた...
吉川英治 「私本太平記」
...大蔵ヶ谷の大屋根は...
吉川英治 「私本太平記」
...ただ中ノ坪や大屋根には...
吉川英治 「私本太平記」
...大屋根の檜皮(ひわだ)までが空に黒いチリのつむじを描きぬいている...
吉川英治 「私本太平記」
...その大屋根を圧(あっ)している敏達帝(びだつてい)の御陵のある冬山のあたりを...
吉川英治 「親鸞」
...大屋根の上で高くあざ笑った...
吉川英治 「親鸞」
便利!手書き漢字入力検索