...夥しい草葉の蒸香(いきれ)が風と共に入つて來る...
石川啄木 「鳥影」
...夥しい紫煙の中から...
海野十三 「地球発狂事件」
...彼らの中にはわれら地球人類以来の歴史たる二万年よりももっともっと夥しい年代を経ているものも少くないであろう...
海野十三 「地球発狂事件」
...あの夥しい血潮まであとかたもなく消え去ってしまった...
江戸川乱歩 「黄金仮面」
...夥しい汗が、シャツを通して、薩摩上布の腰のあたりをべっとりと湿していた...
江戸川乱歩 「恐ろしき錯誤」
...心細いこと夥しい...
大下藤次郎 「白峰の麓」
...其数も夥しいものになった...
徳冨健次郎 「みみずのたはこと」
...謡曲の「草紙洗」は唯一の探偵物語であるが浄瑠璃には非常に夥しい...
野村胡堂 「随筆銭形平次」
...一歩退いて見ると、路地の方には、穴から一尺ほど離れた下水へかけて、夥しい血潮が、昨夜の殺しの凄惨さを物語って居ります...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...夥しいガラス壜が気味悪く残つてゐる処や...
原民喜 「廃墟から」
...梁や化粧(けしょうたるき)が骨格のように組みあったのへ夥しい蜘蛛の巣がからみついている...
久生十蘭 「顎十郎捕物帳」
...ものでも食つてゐるところか(彼女は夥しい乱食家であつた...
牧野信一 「小川の流れ」
...彼は常々夥しい近視眼で...
牧野信一 「創作生活にて」
...夥しい暑さだ――私の頭はかなり怪しい...
牧野信一 「素書」
...彼は夥しい因循な気持に襲はれてゐた...
牧野信一 「渚」
...この集に收めた四篇は手習艸紙のつもりで書いた夥しい原稿の中の一部である...
水上瀧太郎 「貝殼追放」
...どこをドウしたかわからないくらい夥しい船が...
夢野久作 「爆弾太平記」
...あとには夥しい砂ほこりが分厚く積っているばかり...
夢野久作 「名娼満月」
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