...何れだけの夥しい犧牲を作らねばならぬかといふ事に移つて行つた...
石川啄木 「歌のいろ/\」
...遠く水平線のあたりにジワジワと湧き出したような微光を背にして夥しい禿山の起伏が黒々と果しもなく続くばかりでどこかこの世ならぬ地獄の山の影絵のよう...
大阪圭吉 「白妖」
...その夥しい貿易が...
薄田泣菫 「茶話」
...皮の儘で熬つた栗は堅いこと夥しい...
長塚節 「痍のあと」
...星月夜の街上に夥しい歩兵部隊の出征する所に出逢つた...
野上豐一郎 「大戰脱出記」
...謡曲の「草紙洗」は唯一の探偵物語であるが浄瑠璃には非常に夥しい...
野村胡堂 「随筆銭形平次」
...寧ろ陽気過ぎるほどの病室にはお友達から送られたらしい花が夥しく飾ってあって...
野村胡堂 「笑う悪魔」
...しがない讀書子を惱ますこと夥しい...
羽田亨 「聚樂廻り」
...かさねて立てかけられた夥しい窓枠の硝子が反射し...
ニコライ・ゴーゴリ Nikolai Vasilievitch Gogoli 平井肇訳 「ディカーニカ近郷夜話 前篇」
...頁の各糎平方の中に夥しい量で塊まり合つてゐる感覺...
堀辰雄 「プルウスト雜記」
...夥しい寂しさに陥つた――少しでも信じられたり尊敬されたりすることは何んな侮蔑よりも苦痛なやうな気がする...
牧野信一 「坂道の孤独参昧」
...それがまた夥しい腕力で...
牧野信一 「月あかり」
...(四)史話史書や伝記に載った虎に関する話はすこぶる夥しいから今ただ手当り次第に略述する事とせり...
南方熊楠 「十二支考」
...十三世紀のマルコ・ポロ紀行にいわく尊者の墓へキリスト回々(フイフイ)二教の徒夥しく詣り尊者殺された処の土色赤きを採り帰って諸種の病人に水服せしも効験灼然(いちじるし)と...
南方熊楠 「十二支考」
...餅に大毒を入れそれと勘付かれぬよう夥しく香料と砂糖を和して渡したやつだが...
南方熊楠 「十二支考」
...それからまた一つと夥しく取って啖うのだ...
南方熊楠 「十二支考」
...町内に鹿夥しく人馴れて遊ぶ...
南方熊楠 「十二支考」
...夥しい問題が私たちの眼前に浮び上って来るのである...
宮本百合子 「現実に立って」
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