...八十八夜前後の時期は、季節の変わり目で体調を崩しやすいと言われています...
...夜前、戌時(いぬのとき)ばかりに、奥方が俄(にはか)に、人心地(ひとごこち)をお失ひなされましてな...
芥川龍之介 「芋粥」
...一兩夜前に、漂泊者の一家族が、近くの森に泊つてゐた...
オウ・ヘンリ 三宅幾三郎訳 「水車のある教會」
...十八夜前後の月高く空にかかり...
薄田泣菫 「独楽園」
...通り魔のような夜前(やぜん)の出来事を考えていると...
橘外男 「生不動」
...そうして、あなたもあのくらいに書ける手じゃありませんか、とそそのかして、ふいと床の間を振向いたところには、やはり夜前、つくづくと見て、心憎さを感じたところの懐紙風のかけものが、そのまままざまざと浮き出している...
中里介山 「大菩薩峠」
...「夜前(やぜん)此の御仁(おひと)がお見えになつてな...
長與善郎 「青銅の基督」
...「夜前(やぜん)にくみ込んだ水甕へ...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...深夜前に追いつける...
フレッド・M・ホワイト Fred M. White 奥増夫訳 「黄金薔薇」
...夜前の雇婆さんの話によると老人は身体の工合が悪くて臥ている筈である...
松本泰 「日蔭の街」
...夜前(やぜん)私やあ...
三木竹二 「いがみの権太」
...そこへ坐るんだ」何でも夜前つかまった強盗を入れるために...
宮本百合子 「刻々」
...「夜前の襦袢もたせ上申候...
森鴎外 「伊沢蘭軒」
...即ち各地に於て日夜前条の御趣旨を演説し...
與謝野禮嚴 「禮嚴法師歌集」
...それに夜前(やぜん)は...
吉川英治 「私本太平記」
...弥九郎が去ると、ひそかに元祐の前に出て、「昵懇(じっこん)の小西弥九郎ともうす者がぜひお取次ぎを得たいとて、夜前、この一書をたずさえて手前を訪ねてまいりました...
吉川英治 「新書太閤記」
...夜前(やぜん)、惨(さん)として、老公の前を去ってからおそらく紋太夫は一睡もしなかったであろう...
吉川英治 「梅里先生行状記」
...夜前はちと、ごきげんにまかせて、お相手とはいえ、長居(ながい)を仕りましたから、どうかと、あとでお案じして退(さ)がりましたが」「いやいやご隠居さまには、今朝ほどはもうお床を払っておいでなさる...
吉川英治 「梅里先生行状記」
...ふたりとも、きょうばかりは、夜前(やぜん)、父上から懇々(こんこん)いわれましたので、至極、とりすましておりますが、もう仕方のない悪戯(わるさ)やら、憎(にく)ていばかり申して母を困らせておりまする」「ご老母は、おいくつか」「六十になりまする」「紋太夫どのの……?」「いえ、わたしの」「ご家老には、こう打揃ってご家庭でもめぐまれておられますな」「いえいえ、年じゅう忙しい身なので、わたくし達と、夕餉(ゆうげ)をともにすることも、家に落着いていることもご病気でもないときのほかには……」よく語る夫人である...
吉川英治 「梅里先生行状記」
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