...いくら子供でも、男と女は矢張男と女、学校で一緒に遊ぶ事などは殆んど無かつたが、夕方になると、家々の軒や破風に夕餉(ゆふげ)の煙の靉(たなび)く街道に出て、よく私共は宝奪ひや鬼ごツこをやつた...
石川啄木 「二筋の血」
...夕方になると萼が蕾(つぼ)んで了ふのもある...
アンリイ・ファブル Jean-Henri Fabre 大杉栄、伊藤野枝訳 「科学の不思議」
...夕方になるとボイラーから排出される多量な温湯が庭の隅の風呂桶(ふろおけ)へ引かれて...
海野十三 「白蛇の死」
...夕方になると町のどこかゝら前觸れの太鼓の音が聞えて來る...
田畑修一郎 「盆踊り」
...毎日夕方になると...
田山録弥 「山のホテル」
...お金欲しさに夕方になると色男のところへいらっしゃったじゃありませんか...
ドストエーフスキイ 中山省三郎訳 「カラマゾフの兄弟」
...それが、朝のうちは何でもなかったが、おひるからさむざむと空が曇って、夕方になると、へんに気になりだし、泣きたいような心持になって、ついふらふらと、村尾さんに速達の葉書をだしてしまいました...
豊島与志雄 「千代次の驚き」
...学校の帰りが夕方になることが多いのを...
豊島与志雄 「同胞」
...夕方になると、御飯を食べていらっしゃいと彼女は云った...
豊島与志雄 「反抗」
...夕方になると竹垣に朝顔のからんだ勝手口で行水(ぎょうずい)をつかった後(のち)そのまま真裸体(まっぱだか)で晩酌を傾けやっとの事膳(ぜん)を離れると...
永井荷風 「すみだ川」
...その日の夕方になると...
中里介山 「大菩薩峠」
...夕方になると一天雲もない空の地平線近くが薄紫色に霞んで...
中谷宇吉郎 「映画を作る話」
...門(かど)に立って夕方になると...
長谷川時雨 「古屋島七兵衛」
...夕方になると、朝から何も食べていない二人は、暗い部屋にうずくまって当(あて)のない原稿を書いた...
林芙美子 「新版 放浪記」
...夕方になると艮(うしとら)へまわり...
久生十蘭 「顎十郎捕物帳」
...夕方になると、彼等は何處へともなく姿を消す...
堀辰雄 「麥藁帽子」
...毎朝、小さな鳥が声をそろへて、歌をうたつて、虹猫に聞かせ、又夕方になると、いつも子守歌をうたつて、すや/\ねむらせてくれます...
宮原晃一郎 「虹猫と木精」
...伊賀街道に当っているし、浄瑠璃寺(じょうるりでら)や笠置寺へゆく人たちも泊るので、夕方になると、そこの入口の立樹(たちき)や、廂(ひさし)の下には、必ず十頭くらいの荷駄馬がつながれ、夥(おびただ)しい米を炊(かし)ぐため、米の磨(と)ぎ水が前の流れを白く濁していた...
吉川英治 「宮本武蔵」
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