...今こそ時は西山(せいざん)に入日傾く夕まぐれ...
上田敏 上田敏訳 「海潮音」
...森の小路(こみち)の四辻(よつつじ)に夕まぐれ...
上田敏 上田敏訳 「海潮音」
...森蔭はまだ夏緑(なつみどり)、夕まぐれ、空より落ちて、笛の音(ね)は山鳩よばひ、「夏」の歌「秋」を揺(そそ)りぬ...
上田敏 上田敏訳 「海潮音」
...年玉や雪の小家の床の上年玉や雪の小家の夕まぐれ雪の戸に喜びみちぬお年玉次に三河屋の番頭といったようなものが...
高浜虚子 「俳句の作りよう」
...草むらに蛙こはがる夕まぐれと附けた...
太宰治 「天狗」
...君は力づき夕まぐれに...
田山録弥 「あさぢ沼」
...冬の夕まぐれの茶の間の板縁で古新聞を引破ってのホヤ掃除をした経験をもたない現代青年が...
寺田寅彦 「追憶の冬夜」
...春は吉野のあさぼらけこむる霞のくれなゐも遠目は紛ふ花の峯夏はラインの夕まぐれ流は遠く水清く映るも岸の深みどり汨羅の淵のさゞれなみ巫山の雲は消えぬれど猶搖落の秋の聲潮も氷る北洋の巖を照らすくれなゐは光しづまぬ夜半の日か...
土井晩翠 「天地有情」
...螢飛びかふ夕まぐれすゞ風そよぐ夜半の空流れ流るゝ谷川の水の響はたえねども水の行くへは替れども覺めずやあはれなが胸に燃ゆる思の夏の夢...
土井晩翠 「天地有情」
...別の袖に別れの袖にふりかゝる清き涙も乾くらむ血汐も湧ける喜の戀もいつしかさめやせむ物皆移り物替るわが塵の世の夕まぐれ仰げば高き大空に無言の光星ひとつ...
土井晩翠 「天地有情」
...天か股肱の命盡きて襄陽遂に守りなく玉泉山の夕まぐれ恨みは長し雲の色...
土井晩翠 「天地有情」
...春千山の花ふゞき秋落葉の雨の音誘ふて世々の夕まぐれ劫風ともに鳴りやまず...
土井晩翠 「天地有情」
...ラムプの金との夕まぐれ庭に向つて...
中原中也 「在りし日の歌」
...其処に風薫る夕まぐれ子供は蹲((しやが))んで悲しみで一杯になつて...
ジャン・ニコラ・アルチュール・ランボー Jean Nicolas Arthur Rimbaud 中原中也訳 「ランボオ詩集」
...夕まぐれの青やかな空気のなごやかさに私たちの心も何がなしとけこんでゆくころにそれをした...
新美南吉 「花をうめる」
...さしむき熱海(あたみ)から藤沢までの天地自然の夕まぐれを...
服部之総 「望郷」
...夕まぐれに会った灰色服の女が...
フレッド・M・ホワイト Fred M. White 奥増夫訳 「くちなしの花」
...真夏の夕まぐれの小柳など...
正岡容 「東京万花鏡」
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