...その壊れゆく壁土(かべつち)のそばになんとも奇妙な二つの輪がうつっていた...
海野十三 「○○獣」
...そこも亀裂(ひび)の入った黄(きい)ろな壁土(かべつち)が侘(わび)しそうに見えるばかりで...
田中貢太郎 「指環」
...築地の壁土は淡黄色の上塗りが施され...
田畑修一郎 「医師高間房一氏」
...三枚落ちて壁土が少しこぼれていたが...
寺田寅彦 「烏瓜の花と蛾」
...下の黄色い壁土があらわになっていた...
アーサー・コナン・ドイル Arthur Conan Doyle 大久保ゆう訳 「緋のエチュード」
...とにかく、壁土が乾いて、彼女が自室に落着けるようになったのは、よいことだ...
豊島与志雄 「好人物」
...壁土に用いても最上等なもので...
豊島与志雄 「蓮」
...壁土が散亂して居るのです...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...何処を見ても、壁土のない、板壁の素朴な旅館であつた...
林芙美子 「浮雲」
...壁土の土砂が風に煽られて...
原民喜 「壊滅の序曲」
...爪の間に白い壁土のようなものが一杯に詰っていたこと...
久生十蘭 「魔都」
...汚れた壁土などゝは比べものにならない...
ブロンテイ 十一谷義三郎訳 「ジエィン・エア」
...そしてそれらのものは一面にこぼれた壁土のようなもので埋もれていた...
堀辰雄 「あいびき」
...私はがらにもなく巨費を投じて冬も凍らないように厚い壁土をぬりこめ...
室生犀星 「われはうたえども やぶれかぶれ」
...外側に壁土を上塗りしていない荒壁ばかりだとも...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...「この冬はもう、畳を煮、壁土を喰うしか、食うものはない」窪(くぼ)んだ眼と、窪んだ眼とが、おたがいを憐れみながら、なおこんなことをいっていた...
吉川英治 「新書太閤記」
...こての先から飛んできた壁土が...
吉川英治 「宮本武蔵」
...「壁にさわると壁土が指にくっついて来るんですからね」フィリップが言うには...
ルナアル Jules Renard 岸田国士訳 「ぶどう畑のぶどう作り」
便利!手書き漢字入力検索