...彼の書いた手紙には、墨痕が濃く残っていた...
...古い書物には、自然と墨痕が生じているものが多い...
...調査書の裏には、墨痕で何か書いた形跡がある...
...墨痕のあるペンは、落ち着いた雰囲気を演出できる...
...あの画家は、墨痕のような独自のタッチを持っている...
...合浦珠還好秘蔵(ごうほのたまかえってひぞうするによし)」――そう云う字が飛舞するように墨痕を走らせているのを見ると...
芥川龍之介 「上海游記」
...私が二葉亭から請取った何十通の手紙の中でこれほど墨痕(ぼっこん)淋漓(りんり)とした痛快なものはない...
内田魯庵 「二葉亭四迷の一生」
...墨痕(ぼっこん)あざやかに認(したた)めてあった...
海野十三 「柿色の紙風船」
...墨痕淋漓として乾かざれども...
高山樗牛 「瀧口入道」
...入口に立てかけた大看板に(只今オリムピックボオト選手一同御来店中)と墨痕(ぼっこん)鮮(あざ)やかに書いてあります...
田中英光 「オリンポスの果実」
...今夜見れば墨痕(ぼくこん)美わしく「彰忠(しょうちゅう)」の二字に化(な)って居る...
徳冨健次郎 「みみずのたはこと」
...墓標には墨痕(ぼっこん)あざやかに「片岡浪子の墓」の六字を書けり...
徳冨蘆花 「小説 不如帰」
...洞窟(どうくつ)の墨痕(ぼくこん)...
ビクトル・ユーゴー Victor Hugo 豊島与志雄訳 「レ・ミゼラブル」
...やがて道庵は墨痕あざやかに...
中里介山 「大菩薩峠」
...淋漓(りんり)として墨痕(ぼっこん)が飛ぶ...
中里介山 「大菩薩峠」
...まだ墨痕(ぼっこん)も新しく...
中島敦 「悟浄歎異」
...墨痕(ぼっこん)あざやかにのびのびと書かれた文字であった...
本庄陸男 「石狩川」
...白札に鮮やかな墨痕をもつて「学生警鐘」といふ文字が誌されてゐた...
牧野信一 「「学生警鐘」と風」
...近視眼者のやうに好く/\顔を近づけて験べると文字だけが円味を湛えて浮びあがつてゐる墨痕に「藤龍軒天狗流兵術指南所」と読まれるのであつた...
牧野信一 「天狗洞食客記」
...粗悪な封筒と巻紙に墨痕踊るが如く昨夜以来御心痛奉拝察候(はいさつたてまつりそうろう)...
山下利三郎 「誘拐者」
...なすり付けてある墨痕(ぼっこん)でありました...
吉川英治 「江戸三国志」
...墨痕(ぼっこん)淋漓(りんり)とこう書いたものである...
吉川英治 「新・水滸伝」
...壁の墨痕(すみあと)もいつか春秋の雨や風にうすれてゆく...
吉川英治 「源頼朝」
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