...葦原醜男は彼にも増して...
芥川龍之介 「老いたる素戔嗚尊」
...前の二つの経験にも増して重大なる教訓を我々に与えている...
石川啄木 「時代閉塞の現状」
...いくら電力を増しても届かぬので...
海野十三 「科学が臍を曲げた話」
...その日は、土曜日だったせいで、街は、いつにも増して、人出が多かった...
海野十三 「鬼仏洞事件」
...刻々に群衆が増して行った...
海野十三 「空襲下の日本」
...それが却(かえ)って一段の趣味を増しているようだと云うたら子規も同意した...
寺田寅彦 「根岸庵を訪う記」
...その結果がさびしさを増していたのである...
寺田寅彦 「亮の追憶」
...益満のことを、又思い出して、二人を比較しながら(益満様を、世にも頼もしい方と思っていたが、ここには、それにも増して、頼もしい方がいなさる)そう思って、月丸の、後寝姿を見た時「これは、恐縮」月丸が、寝返って、畳んでいる自分の着物の方へ一寸手を延した...
直木三十五 「南国太平記」
...その代り小舷(こべり)に繻子(しゅす)の空解(そらどけ)も締めぬが無理かと簾下(おろ)した低唱浅酌(ていしょうせんしゃく)の小舟(こぶね)はかえっていつにも増して多いように思われた...
永井荷風 「散柳窓夕栄」
...夜寒(よさむ)がしだいに増して来る...
夏目漱石 「門」
...何にも増して一つの観念を別の観念と間違えるようにさせがちなことは...
デイビッド・ヒューム David Hume 井上基志訳 「人間本性論(人性論)」
...みなが目覚めるとその月影の覆いは天空へと浮かび上がり勢い増してつむじ風も巻き起こる...
エドガー・A・ポオ Edger A. Poe 「ポオ異界詩集」
...それにしても刻々に凧の数は増してゐたものゝ...
牧野信一 「山峡の凧」
...追々とそれらの渦巻は勢ひを増して...
牧野信一 「創作生活にて」
...そうこうしているうちに向方(むこう)の円光の中には様々な人影が次第に増して来て...
牧野信一 「吊籠と月光と」
...疲労の感じは増して来て...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...不忍(しのばず)の弁天社へ橋が架ってから、参詣(さんけい)人がふえたので、掛け茶屋の店を出したのが、しだいに大きくなり、家数も増して、いまではどの店にも若い女を置き、飲み食いもできるようになっていた...
山本周五郎 「樅ノ木は残った」
...すこし赤茶気た顔はかえって美しさを増していた...
山本禾太郎 「抱茗荷の説」
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