...堀端の青草の上や...
ボードレール 富永太郎訳 「酔へ!」
...堀端(ほりばた)づたひに虎(とら)の門(もん)より溜池(ためいけ)へさし掛り候時は...
永井荷風 「榎物語」
...わたくしが父に伴われて行った料理茶屋は堀端に生茂った松林のかげに風雅な柴折(しおり)門を結んだ茅葺(かやぶき)の家であった...
永井荷風 「十六、七のころ」
...堀端(ほりばた)を眞直に歩いて行けば...
永井荷風 「新歸朝者日記」
...日比谷公園から堀端一帯の青葉が一層色あざやかに輝き...
永井荷風 「つゆのあとさき」
...人通のない堀端を幸(さいわい)に...
永井荷風 「つゆのあとさき」
...水を隔てた堀端の道とには電車が絶えず往復しているが...
永井荷風 「つゆのあとさき」
...本村町(ほんむらちょう)の堀端(ほりばた)から左へ曲って...
永井荷風 「ひかげの花」
...草臥(くたびれ)る所迄堀端(ほりばた)を伝(つた)つて行く気になつた...
夏目漱石 「それから」
...浅草新堀端のこの道...
正岡容 「寄席」
...堀端(ほりばた)を西へ...
森鴎外 「大塩平八郎」
...堀端で夏の終りの風に吹かれていたときのように...
山本周五郎 「あだこ」
...その堀端に五、六軒、小料理屋がとびとびにあって、その端の一軒で「すみよし」と紺地に白く、仮名で染め抜いた半のれんを、軒先に掛けている女がいた...
山本周五郎 「さぶ」
...「早く出て東屋へいくべえ」六東屋は亀島橋に近い堀端にある飯屋で...
山本周五郎 「ちゃん」
...「あのとき友達のところへゆくまえに、茶を一杯啜るだけでも、考えが変ったかもしれない、堀端を歩くとか、絵を眺めるとか、ほんのちょっと気をしずめてからにすれば、事情はまったく変っていたかもしれません、そうでなくとも、あの少年時代の、うしろからついて来る足音、落葉を踏みながらついて来た足音や、友達の云ったあの言葉を思いだすだけでもよかったのです」老人はどこを見るともない眼つきで、明けてくる河原の向うを見まもった、「あやまちのない人生というやつは味気ないものです、心になんの傷ももたない人間がつまらないように、生きている以上、つまずいたり転んだり、失敗をくり返したりするのがしぜんです、そうして人間らしく成長するのでしょうが、しなくても済むあやまち、取返しのつかないあやまちは避けるほうがいい、――私がはたし合を挑んだ気持は、のっぴきならぬと思い詰めたからのようです、だが、本当にのっぴきならぬことだったでしょうか、娘一人を失うか得るかが、命を賭(か)けるほど重大なことだったでしょうか、さよう、……私にとっては重大だったのでしょう、家名も親も忘れるほど思い詰め、はたし合の結果がどうなるかを考えるゆとりさえなかったのですから」「どんなに重大だと思うことも、時が経ってみるとそれほどではなくなるものです」と老人は云った、「家伝の刀ひとふりと、親たちの位牌(いはい)だけ持って、人の家の裏に立って食を乞い、ほら穴や橋の下で寝起きをしながら、それでもなお、私は生きておりますし、これはこれでまた味わいもあります、そして、こういう境涯から振返ってみると、なに一つ重大なことはなかったと思うのです、恋の冷える時間はごく短いものでしたし、友の出世もさしたることではない、友達はその後さらに出世をしたでしょう、ことによると城代家老になったかもしれませんが、いまの私には羨(うらや)む気持もなし、特に祝う気持もない、ただひとつ、思いだすたびに心が痛むのは、あのはたし合で友を斬ったことです...
山本周五郎 「橋の下」
...それから汐止(しおどめ)の堀端へいった...
山本周五郎 「樅ノ木は残った」
...堀端より帝国ホテル方向に逃走せり...
夢野久作 「暗黒公使」
...昨日(きのう)の日附で堀端(ほりばた)銀行の二千円の小切手を誰かに与えている事がわかった...
夢野久作 「二重心臓」
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