...況(いはん)や話の奇抜であるか奇抜でないかと云ふことは評価の埒外(らちぐわい)にある筈(はず)である...
芥川龍之介 「文芸的な、余りに文芸的な」
...埒に手をかけて揺ぶってやるくらいの事はしても...
有島武郎 「星座」
...一番責めなきゃ埒(らち)が明くめえ...
泉鏡花 「活人形」
...子飼(こが)いの時より一方(ひとかた)ならぬ大恩を受けながらそのような身の程知らずの不料簡(ふりょうけん)は起しませぬ思いも寄らぬ濡(ぬ)れ衣(ぎぬ)でござりますと今度は春琴に口を合わせ徹頭徹尾(てっとうてつび)否認するのでいよいよ埒(らち)が明かなくなった...
谷崎潤一郎 「春琴抄」
...それを私は高砂のお爺さんがゐたと埒もなく喜んで――ほんとにさう思つたのだ...
中勘助 「銀の匙」
...不埒(ふらち)ニツキ...
中里介山 「大菩薩峠」
...呑気(のんき)に放埒(はうらつ)にすごした昨夜の自分が悔いられた...
中戸川吉二 「イボタの虫」
...自分から埒(らち)を脱(ぬ)け出したと同じ事であった...
夏目漱石 「明暗」
...私は放埒(ほうらつ)な上にやくざな亭主を持って...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...話は思ひの外簡單に埒(らち)が明きました...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...何を訊いても埒(らち)があかず...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...手柄爭ひの嫌ひな平次に埒をあけて貰ふのが...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...不埒(ふらち)千万にも...
ジョナサン・スイフト Jonathan Swift 原民喜訳 「ガリバー旅行記」
...一向に埒はあかぬ...
牧野信一 「ひとりごと」
...埒(らち)もなくぼんやりしていた...
室生犀星 「蛾」
...海の周囲(まわり)に厳(おごそ)かな埒を結うのだ...
Johann Wolfgang von Goethe 森鴎外訳 「ファウスト」
...いくら吠えてもごまめの歯ぎしりで到底埒が明かぬと多くの人は云ふのだけれ共...
山本宣治 「婦人雑誌と猫」
...はよう埒(らち)をあけい」顔じゅうに青すじを走らせて...
吉川英治 「宮本武蔵」
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