...競馬場の埒(らち)の周囲は人垣で埋った...
有島武郎 「カインの末裔」
...わしらのような暮しでは一から十まで註文どおりにいかないのは覚悟していてくれんと埒(らち)はあくものではないぞ...
有島武郎 「星座」
...不埒(ふらち)ともいうべき若いのは...
泉鏡花 「薄紅梅」
...」「不埒(ふらち)な奴だ?」と揺(ゆらめ)いた英臣の髯の色...
泉鏡花 「婦系図」
...どうせ僕が歸京しなければ埒が明くまいが...
岩野泡鳴 「泡鳴五部作」
...立ち話位では埒(らち)の明かない話……それはまず次のようなわけ……若井氏はフランスに美術店を出している...
高村光雲 「幕末維新懐古談」
...いっそ早(は)よ埒(らち)明くように...
谷崎潤一郎 「卍(まんじ)」
...また時には退屈して其処等を埒もなくほうつき歩いた...
田山録弥 「田舎からの手紙」
...猫に関する怪談は、道徳美の埒外に、あるものが多く、たとい報恩とか復讐とかいうことから発したものにあってさえ、たちまち独自の発展をなして、精神的な怪異力を発揮する...
豊島与志雄 「猫性」
...夫兵庫の放埒を止める力もなく...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...夕刻からは埒(らち)もない雑談に花が咲きました...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...大方一軒か二軒で埒(らち)があくだろうよ」「ヘエ――」「もう一人...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...番頭の利八郎は若い時放埒(ほうらつ)で...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...手代の良助には給金の預り百五十兩の外に、百五十兩の手當を出す」「それから?」「それからが大變で――甥(をひ)の權三は、身持放埒で、身上と身柄を私が預つたが、五年間よく辛抱した心掛けに愛でて、地所家作の外に五百兩の預りに五年間の利息を附けて返し、外に三千兩の現金を分けてやるやうに、――お松とは許嫁の間柄であつたが、權三の心掛けが直るまでお松に申含(まうしふく)めて精々つれなくさせて居た...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...脣(くちびる)に臭ぞ殘る放埒の慾心のあさましく汚らはしああ悔恨は死を迫るつと起き出でてよろよろとたんすを探る闇の中しかはあれ共ピストルを投げやりてをののきぬ怖れぬ床に身を臥(ふ)してそのたまゆらに狂ほしく稚子のやうにも泣き入りぬさはしかすがに事もなく夜の明けたるを悦びて感謝の手をば合せぬる...
萩原朔太郎 「宿醉」
...埒(らち)があかない...
ニコライ・ゴーゴリ 平井肇訳 「外套」
...「腹ん逼ひになつて覗いてばかりゐたつて埒あ明くめえぜ...
牧野信一 「雪景色」
...国に居候時も阿堵(あと)に不埒多きをのこ...
森鴎外 「伊沢蘭軒」
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