...垢じみた道服(どうふく)を着て...
芥川龍之介 「仙人」
...しかも垢じみた萌黄色(もえぎいろ)の毛糸の襟巻がだらりと垂れ下つた膝の上には...
芥川龍之介 「蜜柑」
...少しでも垢じみた所には霜が結んでゐるかと思はれるやうな下着の肌ざはりは...
有島武郎 「秋」
...私は先生の後からついて入ったが、雪のように白い髪粉(かみこ)をつけ(註一二)、きらきらした黒い眼をした、挙動の快活な、品のよい立派なその医師と、粗野な田舎の人々、就中(なかんずく)、ラムが大分って、テーブルに両腕を張って腰掛けている、垢じみた、鈍重な、酔眼朦朧たる、ぼろぼろ着物の案山子(かかし)みたいな例の海賊君との対照が、目に止ったことを覚えている...
スティーブンソン Stevenson Robert Louis 佐々木直次郎訳 「宝島」
...疊敷のところには汚い垢じみた寢蒲團が何枚かつまれてあるのを見た...
田畑修一郎 「南方」
...いつも垢じみたきものを着てゐた同君であつたが...
恒藤恭 「學生時代の菊池寛」
...自分の垢じみた銘仙の着物が...
豊島与志雄 「反抗」
...時々垢じみた万年床が敷いてあったりして...
豊田三郎 「リラの手紙」
...それはたいてい垢じみた着物をきて...
萩原朔太郎 「僕の孤独癖について」
...ひどく垢じみた中年男がやつて来ると...
原民喜 「壊滅の序曲」
...この人はお客に接するのに少し垢じみた寛衣(へやぎ)を著(き)ていた...
ニコライ・ゴーゴリ Nikolai Vasilievitch Gogolj(Николай Васильевич Гоголь) 平井肇訳 「死せる魂」
...かれの垢じみた盲縞の巾着のそこには蜜柑の皮のやうな二十錢札一枚が...
室生犀星 「星より來れる者」
...わが軍隊の間に羚羊(かもしか)の革や麻織の垢じみた胴衣*が珍重されるようになったか...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...すると垢じみた継ぎだらけの裾が割れて...
山本周五郎 「青べか物語」
...皆垢じみたのを着...
吉川英治 「美しい日本の歴史」
...垢じみた布帽をかぶり...
吉川英治 「折々の記」
...千浪も重蔵も垢じみた鼠木綿が吾ながら見すぼらしく思えた...
吉川英治 「剣難女難」
...垢じみた衣冠(いかん)すらなく...
吉川英治 「新書太閤記」
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