...褐色なる頸のめぐりに垂るゝを見る...
ハンス・クリスチアン・アンデルセン Hans Christian Andersen 森鴎外訳 「即興詩人」
...……村方の人らしい、鳴きながらの蛙よりは、泥鼈を抱いて居さうな、雫の垂る、雨蓑を深く着た、蓑だといつて、すぐに笠とは限らない、古帽子だか手拭だか煤けですつぱりと頭を包んだから目鼻も分らず、雨脚は濁らぬが古ぼけた形で一濡れになつて顯はれたのが、――道巾は狹い、身近な女二人に擦違はうとして、ぎよツとしたやうに退ると立直つて提灯を持直した...
泉鏡花 「遺稿」
...垂るゝ頭(かうべ)に...
ジョン・ミルトン John Milton 上田敏訳 「リシダス」
...頭上の鷲鷹(しゅうよう)比翼を伸(のば)して天上の祝福を垂るるあり...
内村鑑三 「基督信徒のなぐさめ」
...垂るゝ綸のはしに...
大町桂月 「月譜」
...垂るる若葉の下がくれ...
薄田泣菫 「泣菫詩抄」
...低く垂る体重牡(おす)で一一〇封度(ポンド)...
橘外男 「陰獣トリステサ」
...背は水平にして腰に向って傾斜し……尾は付根高く低く垂る...
橘外男 「陰獣トリステサ」
...諸神諸人を司どる天王之に愛を垂る...
ホーマー Homer 土井晩翠訳 「イーリアス」
...然として*涙垂る...
ホーマー Homer 土井晩翠訳 「イーリアス」
...月日の流れ世のさだめ返らぬ昔今更に忍ぶ思の數/\はたゞ大潮(しほ)の湧くがごと夜の黒幕の垂るゝごと胸に逼ればくろがねの猛き心も亂れずや...
土井晩翠 「天地有情」
...範を垂るべき人間でないか」「はい」伊集院平は...
直木三十五 「南国太平記」
...波にしあるべし千葉の野を過ぐ千葉の野を越えてしくれば蜀黍の高穗の上に海あらはれぬもろこしの穗の上に見ゆる千葉の海こぎ出し船はあさりすらしも百枝垂る千葉の海に網おろし鰺かも捕らし船さはにうく九月十九日...
長塚節 「長塚節歌集 上」
...紅緑の花咲く蓼や秋の色水際に蓼の垂り穂や秋の晴れ我が姿水に映つして蓼の花一川の岸に穂を垂る蓼の秋秋深けて冴え残りけり蓼の花ボントクタデ(飯沼慾斎著『草木図説』の図)(下方の花穂の一部ならびに果実の二つは牧野補入)婆羅門参キク科の一植物に...
牧野富太郎 「植物一日一題」
...大藤の花の垂るるがごとく咲き垂れていた...
正岡容 「小説 圓朝」
...水の粉やあるじかしこき後家の君尼寺や善き蚊帳垂るゝ宵月夜柚(ゆ)の花や能酒蔵す塀の内手燭して善き蒲団出す夜寒かな緑子の頭巾眉深きいとほしみ真結びの足袋はしたなき給仕かな宿かへて火燵(こたつ)嬉しき在処(ありどころ)後の形容詞を用ゐる者...
正岡子規 「俳人蕪村」
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横瀬夜雨 「花守」
...矢代もパリ以来の二人の緊張の弛み垂るんだ面を支えようとして...
横光利一 「旅愁」
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