...彼女は青葉を固く噛(か)みしめながら...
池谷信三郎 「橋」
...固くて歯が立たねえ代物で...
高見順 「いやな感じ」
...浮気は固くつつしまなければいけません...
太宰治 「虚構の春」
...君もそんな固くるしい言いかたをするという事を...
太宰治 「新ハムレット」
...」庸三も彼女も固くなってしまったところで...
徳田秋声 「仮装人物」
...」呑気そうな彼女の顔が一寸固くなった...
豊島与志雄 「古井戸」
...僕は何だか息がつけず石のように固くなって...
豊島与志雄 「道連」
...ほら、女湯で、子供が泣き出したわな」「ばばばあーん、これぞ、真田の張抜筒」右源太は、光の届かぬ、湯の中の隅へ入って(南部だけでなく、江戸にも、人気があるらしいが――もし、江戸へでも、現れたなら)と、心臓を固くして、額の汗を拭いていた...
直木三十五 「三人の相馬大作」
...綱手は(不服どころか――嬉しゅう思いますし、兄も、聞いたなら、さぞ喜びましよう)と、思いはしたが、七瀬が、固く、月丸に対して、夫とは反対ゆえ、と、いいきっていたから(お頼み申します)とは、云えなかった...
直木三十五 「南国太平記」
...爺は、竈(かまど)の前に、立っていたが「何が?」「そら、いつかの、お雛さんのような――さっき登って行かっしゃった、お侍衆と、いつかござった、そら――齢をとると、ぼけて」「お前がか」「お前が、ぼけて――」「う、う、義観さんのところへ行くと、仰しゃって、お登りになった――そうそう、あのえらい斬合の後でのう」「その時の、嫁御寮(よめごりょう)に、何んとまあ、美しい、よう、似てござる方」深雪も、庄吉も、身体を固くして、昂(たかぶ)ってくる心を、押えて、じっと、聞いていた...
直木三十五 「南国太平記」
...貞操は固く結ばれあふものだと信じきつてゐたし...
林芙美子 「秋果」
...部屋の隅へ行つて固くなつてかしこまつてゐるのでした...
林芙美子 「小さい花」
...ギスギスした発育不全の中学生みたいな固く平たい胸...
山川方夫 「歪んだ窓」
...飯はこのまえにも固く申した筈だが...
山本周五郎 「赤ひげ診療譚」
...町は固く決心した...
山本周五郎 「松林蝙也」
...それなら、そうと、なぜ早くいわないのだ」「将門を、びッくりさせてやるのだから、会うまでは、黙っておれと、固く、お客人から、口止めされたものですから」「そういうのを、馬鹿正直と、都ではいうのだ...
吉川英治 「平の将門」
...後からきっと一月寺へお訪ねします――と固く誓って...
吉川英治 「鳴門秘帖」
...――しかも私は何事をか人類のためになし得る事を深く固く信じています...
和辻哲郎 「ある思想家の手紙」
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