...嚢中たゞ電車賃と國府臺までの舟賃とを餘すのみ...
大町桂月 「川魚料理」
...江山に對すれば、天地は人間にあらざれども、嚢中を思へば、心細し...
大町桂月 「南洲留魂祠」
...「嚢中已(すで)に自ら有り...
田中貢太郎 「酒友」
...金十四銭今日の買物一金三銭 切手一枚一金四銭 なでしこ小袋一金三銭五厘 醤油一合一金五銭五厘 焼酎五勺〆金十六銭これで嚢中は文字通り無一文!・けふの御仏飯のひかりをいたゞく・何やらきて冬夜の音をさせてゐる一茶の次の二句はおもしろいと思ふ...
種田山頭火 「其中日記」
...嚢中わづかに二十六銭しかない)出かけようとしてゐるところへ...
種田山頭火 「其中日記」
...庵中嚢中無一物、寒いこと寒いこと(床中で痛切に自分の無能無力を感じた、私には生活能力がない、そして生活意慾をもなくしつゝある私である)...
種田山頭火 「其中日記」
...酒・嚢中自無銭だが...
種田山頭火 「其中日記」
...嚢中(のうちう)甚だ旅費の乏しきにも拘らず...
田山花袋 「秋の岐蘇路」
...蕪村は「諸流を尽くしこれを一嚢中(いちのうちゅう)にたくわえ自らよくその物をえらび用にしたがっていだす」と言っているそうである...
寺田寅彦 「俳諧瑣談」
...印鑑と印鑑証明書と戸籍抄本とが嚢中(のうちゅう)に入れてある...
永井荷風 「※[#「さんずい+(壥−土へん−厂)」、第3水準1-87-25]東綺譚」
...更に嚢中の許す限り若干の錢を與へた...
長塚節 「開業醫」
...嚢中(のうちゅう)も少し温かになって酒を買う位の事は出来るようになったから...
福澤諭吉 「福翁自伝」
...この馬また蹄で地を敲きて嚢中の銭や骰子目(さいのめ)を数え中(あ)て...
南方熊楠 「十二支考」
...帰省詩嚢中の霞亭の詩を得て稍解決に近づいた...
森鴎外 「伊沢蘭軒」
...とても自分の貧しい嚢中(のうちゅう)では購(あがな)えなくなるからであった...
吉川英治 「三国志」
...嚢中(のうちゅう)の物をつかむも同様で...
吉川英治 「三国志」
...楊儀と姜維(きょうい)は嚢中(のうちゅう)の遺計が教える所に従って...
吉川英治 「三国志」
...一円七十銭しかない乏しい嚢中(のうちゅう)もそう減らさずに...
吉川英治 「忘れ残りの記」
便利!手書き漢字入力検索
この漢字は何でしょう??