...一つは嚢中(のうちゅう)の乏しいせいもあってだが...
江戸川乱歩 「D坂の殺人事件」
...塩の湯にいても正造の嚢中(のうちゅう)は乏しかった...
大鹿卓 「渡良瀬川」
...嚢中たゞ電車賃と國府臺までの舟賃とを餘すのみ...
大町桂月 「川魚料理」
...唯嚢中が氣がゝかりなれど...
大町桂月 「妙義山の五日」
...少し心細いね――嚢中自無銭!十月十九日曇...
種田山頭火 「行乞記」
...金十四銭今日の買物一金三銭 切手一枚一金四銭 なでしこ小袋一金三銭五厘 醤油一合一金五銭五厘 焼酎五勺〆金十六銭これで嚢中は文字通り無一文!・けふの御仏飯のひかりをいたゞく・何やらきて冬夜の音をさせてゐる一茶の次の二句はおもしろいと思ふ...
種田山頭火 「其中日記」
...折から庵中嚢中無一物なので...
種田山頭火 「其中日記」
...酒・嚢中自無銭だが...
種田山頭火 「其中日記」
...嚢中(のうちう)甚だ旅費の乏しきにも拘らず...
田山花袋 「秋の岐蘇路」
...大変に御馳走があって二の膳付の豊富な晩食を食わされたのでいささか嚢中(のうちゅう)の懸念があったではないかと思う...
寺田寅彦 「初旅」
...印鑑と印鑑証明書と戸籍抄本とが嚢中(のうちゅう)に入れてある...
永井荷風 「※[#「さんずい+(壥−土へん−厂)」、第3水準1-87-25]東綺譚」
...其走つて嚢中を檢せんとするに及びて哀痛悲慟禁ずること能はず...
長塚節 「長塚節歌集 上」
...少し浮氣つぽくて困つたけれど」チクリと嚢中の針が出ます...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...何うして「嚢中已有銭」などゝいふ大層な歌がうたへるものよ...
牧野信一 「半島の果にて」
...この馬また蹄で地を敲きて嚢中の銭や骰子目(さいのめ)を数え中(あ)て...
南方熊楠 「十二支考」
...雄の腹下や尾裏に子を懐く事海馬に同じ(長尾驢(カンガルー)など濠州産の諸獣も腹の嚢中に子を育つるが...
南方熊楠 「十二支考」
...わたくしは此帰省詩嚢中の詩に...
森鴎外 「伊沢蘭軒」
...楊儀と姜維(きょうい)は嚢中(のうちゅう)の遺計が教える所に従って...
吉川英治 「三国志」
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